パスツール
ルイ・パスツール(1822-1895)は、ドイツのコッホとともに近代細菌学の祖と仰がれるフランスの細菌学者だ。ワクチンと予防接種という体系を確立した功績はまことに大きい。
醸造学における功績もこれらに劣らない。アルコール発酵が酵母の働きであることを確認証明し、ビールやワインの酸敗を防ぐ方法を考案した。その理論構築の過程で、ビール醸造の2系統、上面発酵と下面発酵について、酸敗防止の観点から下面発酵の優位性を予言し、後にこれを証明した。1876年に著した「ビールに関する研究」は、ドイツに負けないビールを作れとばかりにフランス語で書かれていたが、フランス国内での消極的な反応に対し、隣国ドイツで大いに読まれ、ドイツビールの品質向上の理論的裏付けとなった。「科学に国境は無いが、科学者には祖国がある」と語ったパスツールには皮肉な結果となった。
ビールの製造における殺菌工程が「パスチャライゼーション」といわれるのは、パスツールの名前に由来している。
デンマーク・カルルスベルグ社の創業者ヤコブセンとは個人的な交流があり、カルルスベルグの研究所は、パスツールの理論に基づいて「下面発酵酵母」の単離精製に成功することになる。
今日はパスツールさんの誕生日。
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