機関車の愛称
鉄道初期には、機関車の数もそう多くはなかったから、1両ごとのに愛称がつくことも多かった。北海道を走った「弁慶号」「義経号」などが有名だが、ドイツでも機関車に愛称をつけることがあった。
1835年12月7日に開通したドイツ初の鉄道に投じられた機関車は「アドラー号」といった。「鷲」の意味である。鷲はドイツを象徴する鳥である。1839年に完成したドイツ国産機関車第1号は「サクソニア」と名付けられた。「ザクセン」のラテン語形だ。アルプス越えのゼメリンク鉄道用機関車のコンペに勝ったのは「ババリア号」で、これは「バイエルン」のラテン語形だったが、構造が複雑で実用面に疑問符がついたたために、改良型の「カペレン」に取って代わった。これは星座の「カペラ」だ。
一方オーストリア初の鉄道では開業時に6両の機関車が英国から輸入された。
- アウストリア
- モラヴィア
- ヴァルカン
- ヴィンドボーナ
- ヘラクレス
- サムソン
このうち5と6は、力のありそうな神話の登場人物だが、残りは地名だ。「アウストリア」は「オーストリア」で、ドヴォルザークが泣いて喜ぶ「モラヴィア」、「ヴァルカン」はヴァルカン半島で有名な地域名。「ヴィンドボーナ」はウイーンの古名だ。
走る地域の事情を思い切り背負ったネーミングが微笑ましい。
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