モンスニトンネル
世界で初めてアルプスを越えた鉄道がゼメリンク鉄道で1854年の完成だったが峠の頂点付近をトンネルでクリアしていない。アルプスの横腹に穴を開けてはいないということだ。初めてアルプスの横腹に穴を開けたのが本日の主役「モンスニトンネル」だ。イタリアとフランスを繋ぐルート。トリノとリヨンの間にある全長およそ12kmで、およそ14年の歳月をかけて1871年に完成。よく見てほしい。14年の歳月ということは、着工が1857年ということだ。
クリミア戦争直後から、デンマーク戦争、普墺戦争、普仏戦争というプロイセンの台頭を象徴する3つの戦争の間も、粛々と工事をしていたことになる。負け戦だった普仏戦争もなんのその、完成当時はもちろん世界最長だった。
このトンネル実は、英国の世界戦略に組み込まれている。大英帝国のインド経営に資する目的だ。英京ロンドンから、イタリアの長靴のかかとにあたるブリンディシまで直通列車を走らせることだ。ロンドンを金曜日の15時過ぎに出て、パリ、リヨン、トリノを経てイタリア半島をひた走る。ブリンディシには日曜の16時に着く49時間の行程。ブリンディシからスエズ運河経由インド行きの船が出る。
航空機の無い時代、インドと英国を行き来する最短ルートということになる。
ビスマルクはこれをうらやんだ。だからドイツからイタリアに抜けるトンネルを画策したことは既に述べた。1882年に完成することになるゴットハルトトンネルだ。このトンネル掘削の計画は、1871年に成立している。
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