鉄道条項
事実上ビスマルクが起草したドイツ帝国憲法には、鉄道への言及が随所に見られる。本日はこれらを俯瞰しておく。
第4条[帝国の立法事項]以下の各事項は帝国の監督下に置かれ、帝国の立法に付する。
この各事項の8番目が「鉄道」になっていて、「鉄道制度ならびに国防及び一般交通のための陸路及び水路の建設」と書かれている。
<第7章[鉄道制度]>
第41条[鉄道の敷設] ドイツの国防に必要な鉄道は、通過する領邦の反対を押し切って、領邦主権を侵害しない帝国または民間企業が敷設できる。既存の鉄道機関はこれとの接続を拒めない。既存の鉄道機関が有する「並行する新規鉄道への反対権」を廃止する。
第42条[統一的鉄道網敷設義務] 連邦を構成する各領邦は、ドイツ鉄道相互の交通のために統一性を維持する義務を負う。新しく建設する鉄道も統一的な基準にのっとる。
第43条[統一的経営組織] 42条の目的達成のために速やかに統一的経営組織を構築する。帝国は領国による路線の安全維持、必要な設備車両の投入を監督する。
第44条[直通運送] 各領邦は、直通運転や相互乗り入れに配慮し、相応の速度の列車を旅客向けにも貨物向けにも整備しなければならない。
第45条[運賃] 帝国は鉄道運賃を決定する権利を有する。同時にドイツ全土の統一的な運営規定の作成、主要物資の長距離輸送に対する割引運賃制度の導入に努力する。
第46条[緊急時運賃] 緊急事態発生時、とりわけ食料価格の高騰に際し、主要食料品の輸送に対し定額の特別運賃を採用する義務を負う。
第47条[国防] ドイツ防衛の目的での鉄道使用にあたり、鉄道機関は諸官庁の要請に無条件で従う。軍隊および軍事物資は同一の低額運賃が適用される。
以上だ。第42条から45条までの規定は、バイエルン王国は適用を除外されている。鉄道は国家なりを具現化した憲法。
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