シューマンの初乗車
昨日の記事でロベルト・シューマン生涯最後の鉄道利用に言及した。しからば最初の鉄道利用が知りたくなるのが人情だ。伝記を辿りながら、彼の鉄道初乗車はいつだったのか考察を試みる。
- 1838年 当時ライプチヒ在住のシューマンがウィーンに赴いた。9月27日にライプチヒを出て、ドレスデン、プラハを経由してウィーンに着いたのが10月2日だとされている。馬車ならではの所要時間だ。ライプチヒを基点に東に18kmのマッヘルンまで部分開通していたから、そこだけ列車に乗っていた可能性だけは排除できない。
- 1839年 3月30日前年10月からウィーンにいたシューマンに兄危篤の知らせが入った。ライプチヒに帰るために4月5日にシューマンはウィーンを発つ。プラハを経由してドレスデンに着くのがおそらく4月8日だ。何と言う偶然かドレスデン-ライプチヒ鉄道が全通したのが1839年4月7日だった。シューマンの兄は6日に死去してしまったけれど、先を急ぐシューマンが、このときドレスデン-ライプチヒ間で列車に乗った可能性がある。
- 1844年 クララを伴ってのロシア演奏旅行。1月25日にベルリンを発って2月3日にケーニヒスベルク(今のカリーニングラード)に到着しているので、この間は馬車だ。けれどもライプチヒからベルリンに向かう際、馬車で100km北上してデッサウに出れば、ベルリンまで鉄道が使えた。
- 1845年 12月ドレスデンに移住。このときは間違いなく列車だろう。
- 1850年 9月ドレスデンからデュッセルドルフに移住。1日にドレスデンを発ち2日にデュッセルドルフに着いたと明記されている。両都市の距離568kmを丸2日は、馬車では有り得ない所要時間。当時の路線網から見てライプチヒ-ハレ-マグデブルク-ハノーファー-ハーゲンを経てデュッセルドルフだ。1日早朝にドレスデンを発てば、その日のうちにデュッセルドルフに着く。
シューマン初の列車旅行は、上記3が本命で対抗は2。大穴で1の部分乗車かもしれない。
コメント