西洋事情
1866年に刊行された福沢諭吉の著書のタイトルだ。彼は1860年と66年に米国、1862年に欧州を訪ねていて、その様子を記した書物である。
1862年秋に欧州を訪ねた記事の中に興味深い鉄道ネタがある。
ロシアのサンクトペテルブルクからパリまで鉄道で移動したとある。750マイルおよそ1200kmを21時間かかったと明記している。休憩時間は除くとわざわぜ注釈しているからかなり信用できる数値。平均時速57kmだ。諭吉はさらにこれは、大して早くなくて英国にはもっと早い時速50マイルの列車があるとつけ加えている。鉄道の描写が詳しくて面白い。
もっと重要なこと。諭吉がドイツ国内を走ったことは確実だ。ベルリンとケーニヒスベルクを結ぶプロイセン東部鉄道を利用したことは疑えない。秋というのがいつなのか具体的に判らない。1862年といえば9月にブラームスは故郷からウィーンに進出しているから、わずかながらすれ違った可能性が残るには残る。
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