世界を変えた50の鉄道
ご機嫌な書物のタイトル。パラパラとページをめくって即買いだった。19世紀以降の世界史が鉄道の路線を切り口に語られる。鉄道史と世界史の接点をオタクにズームしてくれる。コラムや写真が充実していて飽きない。単一の路線の話題に終始することもなく、必要に応じてほかの路線の話に脱線するから、言及される路線の数は50に留まらない。
著者は英国人だ。50のうち14が英国の路線になっているけれど、産業革命を牽引した英国であるから、偏重の印象にはならない。気になる日本は1964年の新幹線開業だけが採用されている。1872年の新橋横浜間開通など、スルーされている。世界史的に見ればこんなものかとかえって納得した。
複数の国を跨ぐ路線がドイツを通過しているケースや、他の路線の話題の途中で引用されるケースを除くとドイツの路線はわずか2回しか取り上げられていない。ニュルンベルク-フュルト間のドイツ初の鉄道と、ベルリンーハンブルク鉄道を走った「空飛ぶハンブルク人号」の2回。オーストリアは世界遺産ゼメリンク鉄道だ。私が入れ込んでいるドイツ鉄道の世界史的な位置が確認できる。
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