鉄道員
昔こういうタイトルのフランス映画があった。音楽がキレイだったのでよく覚えている。鉄道員という言葉の響きが物憂げな訳あり感を醸しだすのに一役買っている。「鉄道員」とは、運転士、車掌、駅長、駅員、保線工あたりを総称しているような感じがする。社長や総裁は含めにくい雰囲気だ。助役あたりまでが限界と見た。語感からの直感だけで申せば女性を想定しにくい。
音楽之友社刊行の「ブラームスの実像」に、1897年4月6日に挙行されたブラームスの盛大な葬儀の様子が詳しく書いてある。葬儀当日に自宅に送られた膨大な数の花環の贈り主が列挙されていて貴重なのだが、その中に興味深い記述があった。
「オーストリア鉄道員合唱団」
思わず唸った。いったいどういう団体だろう。素直に読めば運転士、車掌、駅長、駅員、保線工の人々が仕事の合間に合唱をするサークル、たくましい男声合唱を想像する。葬儀に花環を贈るのだから一方ならぬ関係に決まっている。ブラームスの作品を演奏会で取り上げたのだろうか。あるいはメンバーの中にブラームスの知人がいたのだろうか。もしかするとブラームスが指導を買って出ていたかもしれない。
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