全曲初演
ドイツレクイエムの初演といえば1868年4月10日ブレーメンとされている。ところがこのときはソプラノ独唱を伴う第5曲が省かれていた。第5曲を含む完全版の初演は1869年2月18日ライプチヒを待たねばならない。この周辺の演奏会の開催を調べていて興味深い鉄道ネタにたどり着いた。
2月18日のレクイエム、演奏はライネッケ指揮ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団だ。この演奏会にブラームスが立ち会っていたと仮定する。伝記を丹念に読むと翌々日の2月20日には、ウィーンでシュトックハウゼンのリサイタルが開かれていることがわかる。ブラームスはピアノ伴奏者だ。レクイエムの演奏に立ち会ったブラームスが、中1日でウィーンのリサイタルに出演するとなると、ライプチヒ-ウィーン間588kmの移動は絶対に鉄道利用でなければならない。
ベルリン-ハンブルク間285kmが急行馬車で丸2日かかっていたことを考えると、ライプチヒ-ウィーン間は4日かかる計算だ。
鴎外の「独逸日記」に現れる主要都市間の所要時間によれば、ライプチヒ-ウィーンは、おそらくドレスデン、プラハ経由で14時間になる。14時間列車に揺られるのは、現代の感覚からは辛い部類に属するが、中1日で移動が完了する。
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