四六軌道
「しぶろくきどう」と読む。和音の第二展開形を「四六の和音」といい、ブラームスがしばしば話題にしたが、さすがに和音とは関係がなくて軌道幅1372mmが4フィート6インチだからだ。別名「馬車軌道」ともいう。東京の馬車鉄道がこの軌道だったことから来る言い回しである。山の手線内側に路線を伸ばした路面電車はこの軌道だったため、都心への乗り入れを画策する鉄道各社が競ってこの軌道幅を採用し首都東京の主役だった。都心乗り入れの受け皿が地下鉄になるに従って、相次いで改軌が進み今では京王帝都電鉄と都営新宿線のみになった。国際的にも珍しい数値で、100km以上の営業キロ数の鉄道では世界でここだけで、あとは函館市電があるだけ。
ここで「おや」っと思う人もいることと思う。現在標準軌とされているのは1435mmで、この軌道幅は鉄道の母国イギリスの鉱山で採用されていた馬車鉄道の軌道幅が起源とされている。同じ馬車鉄道でありながら欧州と日本では幅が違うということだ。
英国の馬車鉄道の軌道幅は、人によってはローマ起源説を主張する。古代ローマの道路跡に検出される轍の幅に一致するらしい。
などという学説を調べていたらあっと驚く話にたどりいた。
遺跡から読み取れる馬車の形状を分類してゆくと、ユーラシア大陸の馬車は、2系統に分類が出来るという。
- 2頭の馬で、馬の間に1本の棒でひく。
- 1頭の馬で、両サイドに各1本で計2本の棒でひく。
この2つのパターンは、バルト海からカスピ海を経てアルタイ山脈、中国雲南に抜ける線を境にキレイに棲み分けられているという。この線の西側が上記の1の地区で、東側が2の領域となる。欧州は1で東アジアは2ということだ。
2頭立てと1頭立ての違いが軌道幅の違いの遠因になってはいまいか。2頭立て地域の欧州のほうが、1頭立て地区より軌道幅が広くて当たり前だ。
1435mmと1372mm約6cmの違いの原因がこれとも思えないが念のため。
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