謎の迂回
ドイツ鉄道の父・フリードリヒ・リストが提唱したドイツ鉄道未来図は興味深い。リスト本人の死後、本当にそのように鉄道網が伸びていった。少々の疑問もある。リストの路線予想図は、ベルリンを中心に放射状に路線が伸びている。とりわけベルリン-ハンブルク間は、定規を当てたように最短距離で描かれている。するとどうだろう。ハンブルクから見て南東に伸びるルートになるのだが、エルベ川の流路とほぼ重なる。ヴィッテンベルゲ(Wittenberge)でエルベ川が真南に折れるまでの間、ほぼ併走と見ていい。これがリストの見立てだ。
ところが、現実は違っている。ハンブルクから出た路線はベルゲドルフで左にカーブを切り、強引にエルベ川から離れる。上記で申したヴィッテンベルゲでまたエルベ河畔に戻るが、その間円弧状に迂回する。直線的に走ったほうが効率がいいはずだ。理由はいくつか考えられる。
- 一番ありそうなのが、路線の節約だ。シュヴェリンを経てバルト海側のロストクに向かう路線と共用できるからだ。ハンブルク-ベルリン鉄道と途中まで線路を共有することで建設費の節約を図った。
- ラウエンブルクの北で、エルベリューベック運河を越える。ここでの運河水面からの高度を稼ぐため、エルベ河畔を避けた。
- エルベ川の洪水対策。エルベ川はドイツ屈指の暴れ川で、古来洪水に見舞われてきた。洪水にまで至らずとも増水が、列車の安全運行の妨げになることを考慮して、河畔の敷設を避けた。
地図だけ見ていて思いつくのはこの程度だ。
37代引退公演・第21回スペシャルコンサートまであと3日。
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