開通式
ブラームスの生きた時代、とりわけ少年時代において鉄道の開通式は、国家的行事だった。閣僚や元首の参列はむしろ当然でさえあった。予め日取りを定めて万全の準備で当日を迎えるのが常だった。
ハンブルク初の鉄道ハンブルク-ベルゲドルフ間16.5kmの開通式は1842年5月7日と決められていた。まさに我がブログ的にはもってこいの日取り。ブラームス9歳の誕生日である。この日はハンブルク開港記念日でもあるので、まさに周到な日程調整の賜物であるに違いない。
ハンブルクからエルベ北岸を遡った位置にあるベルゲドルフ駅だが、これがベルリンに延伸される際には、駅の直前で左にカーブして急激にエルベ川から遠ざかるルートが採用された。そのカーブからおよそ10kmほどのところに、ビスマルクの屋敷があったフリードリヒスルー駅がある。
ハンブルク初の鉄道が9歳のブラームスへの誕生祝になればよかったのだが、肝心な開通式は予定通りに挙行されなかった。2日前の5月5日にハンブルク大火が発生したからだ。あらかた街を焼き尽くし死者20000人とも言われる大火が鎮火したのは5月8日だった。だから開通式どころではなかった。さっそく避難者を輸送したと伝えられるが、平常運行への復帰は17日となり、そのときには開通式は行われなかった。
本日はまさにそのブラームスの誕生日だ。
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