お盆のファンタジー19
「MVPはノイアーだろ」と怒りが収まらないブラームスさんをなだめるように、ドヴォルザークさんが話題を変えてきた。
「俺も鉄道が好きだ」と不意に切り出した。ブログ「ブラームスの辞書」の鉄道特集を知っている口ぶりだ。
「知っていますよ」とわざと平然と私が応じる。「だから、あなたのためにプレゼントを用意した」と言いながら包みを渡した。
いそいそと包みを解いたドヴォルザークの表情がみるみる驚きに変わる。用意したのはメルクリン社の鉄道模型カタログの2014年版英語版だ。たっぷりと機関車が載っているのだが、ドヴォルザークはそれらを全部知っている感じだ。予想通り英語版が苦になっている様子はない。
「本物じゃなくてゴメン」と詫びたのだが耳に入っていない。「俺はサッカーより機関車だな」「今度来たときはショップを案内してくれ」などと言っている。「9月には鉄道特集であなたを取り上げる」と伝えておいた。
ブラームスは「さあ帰るぞ」と言ってドヴォルザークを引っ張って席をたった。これから天国でも祝勝会だそうだ。来年は誰を連れてくるのだろう。一生忘れないお盆になった。
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