フェン鉄道
廃線ネタを探していて興味深い話を見つけた。「フェン鉄道」は「Venbahn」と綴られる。ドイツのアーヘンからルクセンブルク方面に抜ける幹線としてプロイセンが建設した鉄道だ。普仏戦争を想定した準備の一環だったとも言われている。独仏国境沿いに南北に複線の鉄道を敷設したプロイセンの戦略だ。徒歩による歩兵の移動は1日20kmが限界だとされている。両端の駅での積み替えや乗り降りを入れても鉄道は徒歩の5倍の効率になるという。限られた兵力を目標地点に集中する効果は計り知れない。
元来ドイツ国内路線だったが、第一次大戦の結果、同路線の起点と終点がベルギー領となったことから話が複雑になる。中間に横たわるドイツ領を走る路線についてベルギーが領有を主張して、認められたために、鉄道の敷地だけがベルギー領となった。
コリドール状態の細長いベルギー領に分断される形でドイツ領が飛び地になった。第二次大戦以降同路線は次々廃止された。現在では往来の自由は保障されているものの、その旧軌道跡は法的にはベルギー領のままだ。
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