鉄道馬車
レール上の客車を馬に引かせる鉄道。蒸気機関車や電気機関車が現れる前、欧州の主要都市で普通に見られた形態だ。
音楽之友社刊行の「ブラームス回想録集」第2巻82ページ。ブラームスが友人と連れ立ってウィーン郊外に散歩に出かけたとホイベルガーが証言する。鉄道馬車をつかってヒーツィンクまで行き、そこから徒歩でロダウン、さらにはカルテンロイトゲーベンに足を伸ばしたとある。カルテンロイトゲーベンから鉄道に乗って帰宅したとある。
ヒーツィンクはウィーンの西南西およそ8kmの街、シューンブルン宮殿の西に接する位置。ここまでは現在も路面電車が通じている。
ロダウンはヒーツィンクの南南西およそ5kmの集落。ここから西南西におよそ3kmでカルテンロイトゲーベンだ。
問題は帰路。カルテンロイトゲーベンからウィーン市街に向かう路面電車は現在は存在しない。ホイベルガーは鉄道で帰ったと断言しているから当時はおそらく路面電車が通じていたのだと思う。現在はバス路線が通じているばかりである。
ブラームスが鉄道馬車に乗ったという貴重な証言。
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