暖房車
ドイツの冬は寒い。乗客を寒さから守る工夫は、初期段階から始まっていたと目されるのだが、決定的な情報にたどり着いていない。ドイツの鉄道において列車暖房が始まったのはいつだろう。
ブラームスの伝記の中に有力な情報があった。1896年クララの死から程なく体調不良を訴えたブラームスは、医者に進められて現チェコのカルルスバードに転地療養に出かけた。1896年9月3日のことだ。めぼしい効果もなく、ウィーンに戻るのが同年10月2日であった。このとき、ブラームスの体調を心配した友人たちが、ブラームスが乗る客車に暖房を入れることを鉄道会社に交渉したとされている。規定より2週間早く暖房を使用させようとしたのだ。
この記述により、列車に暖房装置があったことが明らかとなる。暖房の使用開始時期について、鉄道会社が内規をもっていたことも判明する。暖房の方式は不明ながら貴重な情報だ。カルルスバートとウィーン間の話なので厳密にはドイツではなく、ハプスブルク帝国鉄道だ。
« カルロヴィヴァリ | トップページ | ヴェーセル鉄道橋 »
コメント