駅の向き
ドイツで鉄道が発達し始めた頃、首都ベルリンからは放射状に路線が伸びていた。どの方面に向かうかによって、駅が別になり向かう方面の地名が駅名にされていた。北に向かう線の駅なら、ホームは南北に伸びるし、西や東に向かう線の駅なら、ホームは東西に走る。ホームの向きは駅が設営された当時の事情を反映しているということだ。
東京駅はほぼ南北だ。北の玄関上野と、南の玄関新橋を線路で結び、その中間に東京中央駅を作るという構想の反映だからだ。
ライプチヒ中央駅は貫禄ある頭端型で、線路は南西に向かって行き止まりになっている。当初の鉄道はザクセン王国の首都ドレスデンと結ぶ鉄道だったから、ホームは北西から南東に向かって伸びているのが自然だ。ドレスデンからの線路なら南東から来るに決まっているからだ。
実際にそうなっていない。線路の向きからして北東からの線路を受け入れやすいようにと配慮している。これは想像だが、ドレスデンからの路線が先に開業したものの、いずれ路線はベルリンに向けて延びてゆくという計画が既に存在したのだと思う。ライプチヒ駅のあの向きは、ドレスデンにもベルリンにも線路を伸ばしやすい角度だ。その代わり、ミュンヘンやニュルンベルクに向かうには大きく線路を反転させる必要があった。
一方のミュンヘン。バイエルン王国首都の中央駅は東西に走り。東に向かって行き止まりになっている。ウィーンやベルリンからの路線が想定されていないということだ。西からの線を受け入れやすい構造になっている。カールスルーエやシュトゥットガルトを想像してはスケールが小さ過ぎる。おそらくパリが考慮されたと見るべきだ。
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