世界一周の所要時間
ブラームスが生まれた頃、世界一周の所要時間はおよそ150日だったという。英国ロンドンをスタート&ゴールに固定して考えると、明細は以下の通りである。
<1830年代初期> 合計150日
- ロンドン→横浜 80日 いわゆる極東航路。当然ながら喜望峰経由の蒸気船だ。
- 横浜→サンフランシスコ 30日 太平洋航路。
- サンフランシスコ→ニューヨーク 25日。大陸横断鉄道はまだ無かった。
- ニューヨーク→ロンドン 15日。北大西洋航路。
それでも蒸気船だからこの程度で済む。帆船だったらもっとかかる。
<1869年> 合計80日
- ロンドン→横浜 45日。スエズ運河の開通で劇的短縮。
- 横浜→サンフランシスコ 20日 ひとえに船の性能アップ。
- サンフランシスコ→ニューヨーク 8日。大陸横断鉄道による劇的な短縮。
- ニューヨーク→ロンドン 8日。これも船の性能アップ。
スエズ運河と大陸横断鉄道の開通が同じ年だというのが地味に凄い。これだけで52日の短縮である。ジュールベルヌが名高い「80日間世界一周」を書いたのが1872年なのは偶然ではない。1869年に起きたこの大短縮の結果としての80日が忠実に反映しているのは明らかだ。
<1901年> 合計40日
- ロンドン→横浜 16日。シベリア鉄道の開通で劇的短縮。
- 横浜→サンフランシスコ 14日 ひとえに船の性能アップ。
- サンフランシスコ→ニューヨーク 5日。
- ニューヨーク→ロンドン 5日。ドヴォルザークの記録よりは若干短い感じ。
いやはやシベリア鉄道は凄い。日本陸軍が恐れただけのことはある。カナディアンパシフィック鉄道が1887年にヴァンクーバーとモントリオールを結ぶと時間的には早まった。
<1939年> 合計30日
- ロンドン→横浜 15日。
- 横浜→サンフランシスコ 8日
- サンフランシスコ→ニューヨーク 4日。
- ニューヨーク→ロンドン 4日。
戦前のピーク時の所要時間。ブラームスの晩年は80日と40日の中間くらいだ。実は記事「モンスニトンネル」で述べたように、ロンドンからベルギーのオステンデに渡って、モンスニトンンルを抜けてイタリアのかかとからスエズに入るルートが成立していた。これによりロンドン横浜45日が5日から10日程度短縮されたものと思われるから、70日程度で世界一周出来たと思われる。
今日は地味にスエズ運河の開業日である。
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