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2014年12月11日 (木)

Muckefuck

ドイツ語で「代用コーヒー」のこと。味の薄い代用コーヒーを指すので、どちらかというと好ましからざるニュアンスを持つ。

ナポレオンの大陸封鎖は、英国に対する制裁だったのだが、とばっちりは欧州大陸にも及んだ。プロイセンへの影響は深刻だった。何と言ってもコーヒーだ。当時市民にとってなくてはならない存在になっていたコーヒーの値段が跳ね上がった。ナポレオンはその重要度を十分認識していたと見えて、コーヒーの英国での価格を大陸封鎖令の遵守度を測る目安にしていたという。つまり英国のコーヒーの価格が上がると、英国から大陸にコーヒーが輸出されていることの裏返しだからだ。イタリアなど地中海経由で入手出来るバイエルンは、まだしもハンブルク経由のプロイセンは絶望だ。

コーヒーと同時に消費される砂糖は甜菜という優秀な代用品が発見されたのだが、コーヒーは試行錯誤を重ねながらも決定打が出なかった。以下その試行錯誤の一例を列挙する。

  1. 麦芽
  2. 大麦
  3. ライ麦
  4. サトウキビ
  5. いちじく
  6. ダイズ
  7. どんぐり
  8. ダリアの球根
  9. タンポポの根
  10. ゴボウ
  11. アーモンド
  12. えんどう豆
  13. ヒヨコマメ
  14. レンズマメ
  15. アスパラガス
  16. スモモ
  17. ホップ

記事「チコリ」で紹介したチコリの代用コーヒーは、これらの試みの頂点に位置すると思っていいい。こうしたコーヒーへの情熱が、1813年の諸国民戦争につながったと位置づける学者もいる。

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