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2014年12月31日 (水)

年末の風物詩

全国高校オーケストラフェスタ。次女の高校オケにかかわるようになってから、毎年12月29日、オケフェスに通うようになった。次女の出演は一昨年が最後だったが、その後も段取りをつけて足を運んでいる。もとい、耳を運んでいる。

これを聴かないと正月が来ない。

参加校中数少ない第一回から欠かさずの出演で、今年も大トリだった。子供たちは10月のコンクールの次の目標として入念な準備を重ねてきた。演目はリスト作曲交響詩「レプレリュード」だ。コンクールでは、時間の都合で短縮バージョンだったが、今回は完全版。

大トリを任されることを謙虚に背負った、凛とした演奏だった。一言で申せば「あっとーてき」。昨年のオケフェス「カバレリ」アンド「謝肉祭」に1年生として臨んだ現38代の渾身の演奏。オケフェスで先輩とつながる連綿とした伝統だ。

2年前 こちら

3年前 こちら

演奏に先立つ部長挨拶が素晴らしい。今年を最後に取り壊しになる日本青年館への惜別が淡々と語られる。2年後の新ホール落成の折には、後輩たちが必ず戻ってきますという健気な宣言。自分たちの演奏をそれに捧げますという決意。いくぶん震え気味のトークが説得力を増幅させた。高まる期待。

ステージにしずしずと入場してくる所作の段階から、音楽が始まっているのは、毎度のこととして、続くチューニングが絶品だった。オーボエからA音を受け取って、メンバーに配るといった風情のコンサートミストレスのたたずまいなのだが、そこで鳴るA線解放弦の音色がこの世のものとは思えなかった。管楽器に続いて弦楽器奏者たちが、コンミスのAを受け取る。全弦楽器メンバーがみな思い思いに解放弦を鳴らすというのに、信じられないくらい小さな音。オケを支える弦楽器の響きの淵源を見る思いだ。きれいな音楽をこれから作るのだから、チューニングの音が美しくなければならないという当たり前のことに改めて気づかされた。

指揮者がお辞儀して客席に背を向けてから、タクトを上げるまで会場にしみいる静寂。冒頭ピチカートを放つための雰囲気を作り出す大切な時間。

ピチカート来た。走り出す音楽。「私たちの1年間はこうでした。みなさんはいかがでしたか」という音楽。コンクールでは封印されていたフレーズがピチピチとはねている。芳醇なホルンのハーモニーは毎度毎度の安定感と聞こえたのだが、体調不良の仲間を思いやる真心の結晶だった。やがて覆いかぶせてくる第一ヴァイオリンのオクターブの色艶。ああ幸せ。曲の場面の移ろいが折り目正しく整理された印象。ティンパニやハープがここぞで聴かせるとっておき感は、もはや伝統だ。

それからチェロの子たちの笑顔もまた秀逸。だらしない笑いではない。ほのかな笑みなのだが見る者をほっとさせる効果がある。何故チェロなのか。ヴィオラを外に出す関係で、内側に位置するチェロ奏者たちは、客席に表情をさらす。楽器を口にあてる管楽器奏者たちは、笑みを浮かべては演奏にならないし、ヴァイオリンやヴィオラはあごの下に楽器をはさむから、制約がある。だからチェロ奏者たちだけは特別だ。シリアスな音楽を我々に届けながら、慈しみの笑顔が両立している。

引き続いて選抜オケ。「未完成」と「青少年のための管弦楽入門」。急ごしらえのメンバーが毎度熱い演奏を聞かせてくれたのだが、今日は一つだけ言わせてもらう。「青少年のための管弦楽入門」の話。メンバーにはうちの子たちがたくさんいるのだが、演奏に添えられるナレーションの切れ味を特筆大書しておかねばならない。所作、立居振る舞いを含めてパーフェクト花丸。トークの出入りのメリハリが計算されつくしているから、演奏の邪魔どころか寄せ集めオケが抱える荒削りっぷりを、引き締めてなおお釣りの来る語りだった。彼女いつもコンサートで進行を務める切れ者だから、心配はしていなかったが、曲の進行との溶け込みっぷり、声の張り、トーン、抑揚、テンポどれをとってもパーフェクト。おまけにほのかな笑みまで添えられては、おじさんでなくてもノックアウトだ。これもうちのオケの懐の深さ。

お開き後、人でごったがえすホール。子供らの演奏をねぎらう知った顔がたくさん。どれほどのOG、先生、保護者が駆け付けたことだろう。演奏を聴いたOGの畳み掛けるような絶賛はもはや切ないほどだ。あの圧倒的演奏を披露したオケの関係者であることの幸せをかみしめた。見ず知らずの人同士がささやきあう絶賛に聞き耳をたてる幸せ。耳ダンボ、「もっと言って」状態。で、子供たちとすれ違う。胸の前にハートのマークを指でこしらえながら、できるだけ「おめでとう」と声をかける。照れくさそうに会釈して通り過ぎる普通の子供たちに戻っている。「だからあの演奏は奇跡」と言ったら叱られる。普通の子供たちが相応の準備をしているからこその境地。でもそれこそが奇跡かと禅問答が止まらない。

当の子供たちは、まだ演奏に満足していないとも聞く。どんなに褒められても自分を見失うことはないらしい。無理やりにでも課題を探すのが乙女たちの流儀。音楽に演奏に貪欲。

よいではないか。

乙女らの演奏に敏感に反応する自分の心を確認する時間。込めた思いをくみ取ってやれる幸せ。言葉の羅列はむなしいけれど、ただ自分の記憶のために記事を書いた。

これでまた正月が来る。

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コメント

親1様

現地におでましでしたか。
ありがとうございます。
それならば、説明不要でしたね。ただただ、言葉は不完。

昨年の演奏に、1年生で参加した子供たちのプライドが、聞こえました。

内気な私は、早々に青年館をあとにしましたが、
レプレを聴いた感想は、圧倒的の一言。

いやー、偶然にも音楽解説の巨匠と同じとは、
私も随分と成長したなと感じているところです。

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