チコリ
フリードリヒ大王の反コーヒー政策によって、コーヒーが入手困難になって行く中で、何とか代替品を探す努力もされてはいた。そのうちのもっとも優秀な成果が「チコリ」である。ドイツ語では「Chicoree」と綴る。欧州原産の多年生植物。葉がサラダとして食されるが、根を乾燥して粉末にし煎じて飲む。これがコーヒーに似た苦味を持つために代用コーヒーとして発展した。
1770年にハイネとフェルスターという2人の軍人により事業化されブラウンシュヴァイクとベルリンの工場で工業的な生産が始まる。カフェインを含まず安価ということもあって広く一般に受け入れられた。「プロイセンコーヒー」という商標名の巧妙さもあって、消費量という点では本物のコーヒーに肩を並べるまでになった。1780年頃には22箇所の工場が稼動していたという。
さてナポレオンの対英経済政策「大陸封鎖」のとばっちりでコーヒーが高騰した。コーヒーを北海経由の輸入に頼っていたから、ロンドンで50kg40シリングのコーヒーがハンブルクでは10倍に跳ね上がったという。同じ現象がフランスでも起こり、ナポレオンはコーヒーの需要をごまかすためにドイツからチコリを輸入した。
ドイツにとってはホクホクだ。コーヒーを消費すればお金が国外に出てゆくのに、チコリならばそれを止めてなおかつ外貨が入ってくるからだ。あくまでも代用だったチコリは大陸封鎖が解けた後も愛好され続けた。およそ100年たった1862年にはプロイセンだけで80万トン、金額で1200万マルクに達した。この勢いは第二次世界大戦まで続き、ドイツの主要産品となった。
コーヒー好きブラームスは、注文したコーヒーに代用コーヒーのチコリが混ぜられているのを感じ取り、店主にクレームをつけた愉快なエピソードも一部でささやかれている。
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コメント
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親1さま
オケフェスの演目は、リストの交響詩「レプレリュード」です。
投稿: アルトのパパ | 2014年12月10日 (水) 16時22分
コーヒーネタは味わいが深くて好きですね。
何処と無く、オーケストラの雰囲気を感じさせて
くれます。
昨日、ゲルギエフ指揮のボロディンNo2を聴きました。
久しぶりのボロディンです。ところが、私の知っている
幾つかの演奏と違い、テンポが遅く、他の指揮者と違う味を
出そうとしているのが分かりました。問題は第4楽章です。
私は、第3楽章迄の曲調で、第4楽章のテンポを予想し、見事に
正解を得る事か出来たのです。
おお、素人の私でも、一流の音楽家に近づく事が出来たのだ!
と勝手に喜びガッツポーズをとりました。
少し長くなりましたが、本題に入ります。
私は今から20年前に、サンクトブルクのマリイエン劇場で
白鳥の湖を観劇した事があります。指揮がゲルギエフだったか
分かりませんが、とても感動したのを覚えています。
質問は、年末のオケフェスは、白鳥の湖ですか?
ダッタン人の踊りですか?
投稿: 親1 | 2014年12月10日 (水) 08時00分