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2015年1月 4日 (日)

ブラック違い

ブラームスがイシュルの子供たちに、ご褒美を与えるシーンに気になる描写があった。コーヒーカップの底に溶け残った砂糖をスプーンで掬い取って、子供たちに与えたという記述だ。

ブラームスの嗜好は、ほとんどの証言者が「ブラック」だったと口を揃える。日本人の感覚だと「砂糖もミルクも入っていないコーヒー」だと受け止める。だから「底に溶け残った砂糖」という記述が不自然に感じられる。

ドイツにおける「Schwarz」つまり「ブラック」は、ミルクやクリームなど乳製品の排除だけが、要件で、砂糖の有無には制限がない。「ブラック」は元より色だから、乳製品を混ぜさえしなければ、定義を満足できる。砂糖を入れても色は変わるまい。だから「ブラック」から「砂糖」も排除する日本の定義の方が、不自然だ。

ブラームスの知人たちは、「巨匠の好みがブラックだった」と証言するだけで、砂糖の有無には関知していない。本来のブラームスの好みが「砂糖入り」だったのか「砂糖抜き」だったのか、判然としないのだが、イシュルでのエピソードは、有力な手掛かりになる。

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