ゴールドベルク変奏曲
1865年2月母クリスティアーネの訃報に接したブラームスを見舞った友人がいた。ゲンスバッヒャーというチェリストだ。親密度はなかなかのものだ。何しろチェロソナタ第1番を献呈されているほどだ。
悲報に接したブラームスは、一心にピアノに向かっていた。弾いていた曲が本日のお題、バッハの「ゴールドベルク変奏曲」だ。長い間ずっとピアノを弾いていたらしいが、全曲を弾いたのか一部だったのかは解らない。冒頭のアリアか、はたまたクオドリベートか。何という光景だ。ブラームスが演奏する「ゴールドベルク変奏曲」を目の前で聞いたとは恐るべき果報者だ。
ゲンスバッヒャーは、ブラームスの頬に涙がつたっていたと証言する。
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