構想の原点
ブログ「ブラームスの辞書」がまもなく開設10周年を迎える。そして書籍「ブラームスの辞書」も刊行10周年を迎える。ブログ開設当初は、書籍「ブラームスの辞書」執筆の動機にさかんに触れたが、最近はずっとそのことには言及していない。10周年を機に再度執筆のアイデアについて言及する。
世の中に音楽辞典は多い。概ね以下に分類できそうだ。
- 音楽用語辞典 楽譜上に現れる用語の意味を記す。
- 作品辞典 古今の音楽作品を網羅する。
- 人名事典 作曲家と演奏家に分かれる。
私だって愛好家の端くれとしてこれらを座右においている。
「ブラームスの辞書」は強いて申せば上記1音楽用語辞典の変形だ。収載の用語がブラームスの作品上に現れるものに限っている。「ブラームス専用」であることに意義がある。ありふれた音楽用語でも作曲家によって使い方が違うということが前提になっている。ブラームス自身が多彩な使い回しを得意としたから、それらの秘密に迫りたいと欲したところが、発想の原点になっている。
およそブラームス作品である限りメジャーな作品もマイナーな作品も同等の重みで扱うという方針を掲げた。収載の対象を「作品番号のある作品」に限ったことで自己矛盾を引き起こしていることは既に明らかだが、旗揚げ時は意気揚々としていた。
作曲家別音楽用語辞典という発想は既存の出版物を見る限り、ありふれた発想ではなさそうだ。特定の作曲家に絞ることでニーズ自体は極端に狭くなるから、商売にはなじみにくそうだが、趣味としてなら成り立つ。
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