国王ビスマルク1世
英国の外務大臣クラレンドン伯爵の言葉。ビスマルクの持つ影響力が国王をもしのいでいる様子を皮肉った発言だった。ビスマルクがプロイセン宰相に就任した1862年からドイツ帝国宰相を罷免された1890年までの間、英国の首相は10人にも及ぶ。ビスマルクの28年間の長期政権は、英国からみれば宰相のそれではなく、最早国王という感覚なのもうなずける。
クラレントン伯爵のこの発言は1865年だったことも興味深い。ドイツ帝国成立前であることはもちろん、普墺戦争よりも前だ。1864年のデンマーク戦争で、デンマーク側に立った英国の介入を、外交手段で封じたビスマルクの手腕をめぐる発言だ。
プロイセンでもドイツ帝国でも、宰相は内閣に対し責任を負っていない。国王にのみ任命権があり、罷免も国王だけの権利だった。
その後の宰相在任が26年にも及ぶことを予見していたとは思えないが、何らかの才能をビスマルクから感じ取っていたことは間違いあるまい。
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