初演観察
昨日の記事「室内楽の初演」で、ブラームスの室内楽作品の初演について一括して情報を提示した。気づいた点をいくつか。
- 一覧表は初演の日時をキーに列挙したのだが、ほぼ作品番号順になる。作品40のホルン三重奏が、作品番号26と34の間に割って入っているほか、弦楽四重奏の2番が1番に先んじて初演されているに過ぎない。ブラームスは早くから業界における地位が確立していたから、作品が出来るそばから初演されていたということだ。
- 同じ日の演奏会で2曲というのは、2回。ピアノ三重奏曲第2番と弦楽五重奏曲第1番、クラリネット五重奏曲とクラリネット三重奏曲。いやはや贅沢。
- クラリネットソナタは、1番が1995年1月8日で2番が同月11日で同じ会場同じメンツだ。こちらの小出し感もたまらん気がする。
- ブラームス本人の初演への出演は11回。もちろん全てピアノパートだ。1882年のピアノ三重奏曲第2番以降ピアノ入りの室内楽の初演には全て本人出演だ。
- ヨアヒムは、全部で4回を数える。不思議なことにヴァイオリンソナタは1曲もない。ベルリンが3回とハノーファーが1回、全てその土地で勤務していたときだ。またブラームスとの協演は一度もない。
- クララはたった一度。ピアノ四重奏曲第2番をハンブルクで初演した。もっともクララもヨアヒムもいわゆる私的初演という奴で、手書き楽譜で弾いていたに決まっているから、ここでのカウントは目安でしかない。
- 弦楽四重奏曲第2番を初演したヘルメスベルガー四重奏団だが、第一ヴァイオリンを父ヘルメスベルガーが、セカンドを息子が弾いた。親子の協演は唯一ここだけ。
- ピアノ三重奏曲第1番の初演ニューヨークは天晴れ。リスト邸で居眠りしたブラームスを目撃したメイスンが第一ヴァイオリンを弾いた。世界初演がアメリカにさらわれた。
- ちなみにピアノ三重奏曲第一番の改訂版は1890年1月10日ブダペストだ。
- 初演の街は以下の通り。
- ベルリン 4回 全部ジンクアカデミー
- ボン 1回 ヴァイオリンソナタ第1番
- ボストン 1回 弦楽六重奏曲第2番
- ブダペスト 2回 ピアノ三重奏曲第3番とヴァイオリンソナタ第3番を2日に分けて
- フランクフルト 1回 ピアノ三重奏曲第2番
- ハンブルク 1回 ピアノ四重奏曲第1番 クララの関与はここだけ。
- ハノーファー 1回 弦楽六重奏曲第1番
- ライプチヒ 2回 ピアノ五重奏曲とチェロソナタ第1番
- ニューヨーク 1回 ピアノ三重奏曲第1番
- ウィーン 8回さすが。ベーゼンドルファーホールと大小の楽友協会。
- チューリヒ 1回ホルン三重奏曲
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