ただただ可憐
Isabelle van Keulen というヴァイオリニストがいる。オランダの女流ヴァイオリニストだ。彼女もブラームスのヴァイオリンソナタ第1番のCDがある。ほとんどのヴァイオリニストが、3曲を録音して「ブラームスのヴァイオリンソナタ全集」という体裁を志向する中、彼女は我が道をゆく。2番と3番は収録されていない。
1番に続くのは、FAEソナタだ。ヨアヒムの到着を待ちながら、ヴァイオリンソナタを共作した代物で、ブラームスの担当は第3楽章スケルツォだ。現在ブラームスのヴァイオリンソナタが収録されたCDにこの第3楽章だけが収録されることが多い。
ところがクーレンさんは、このソナタを第1楽章以下全曲収録してくれている。何を隠そうこのCDを買ったのは、こちらのFAEソナタ全曲が狙いだったほどだ。さらにその貴重な貴重なFAEソナタ全曲版に続くのは、クララ・シューマン作曲の「ヴァイオリンとピアノのための3つのロマンス」op22である。
ただただ可憐だ。
演奏の出来云々の前に、こうしたアルバムの構成を採用する彼女の主張に一票を投じたい。ブラームスとシューマン夫妻の関係を濃厚に意識させる選曲だ。しかも録音の場所がハンブルクというオチまでつく。
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