イ短調ヴァイオリンソナタ
2010年1月20日の記事「フェルディナンド・ダヴィッド」で、メンデルスゾーンの友人でヴァイオリニストのフェルディナンド・ダヴィッドが1853年11月にブラームスと会い、イ短調のヴァイオリンソナタを弾いたと書いた。
ブラームスについての記録を調べていると、現存しないこのヴァイオリンソナタについての記事が時々現われる。
- 1853年4月 レーメニーと帯同した演奏旅行において、二人で演奏した。
- 1853年11月 ライピチヒにてフェルディナンド・ダヴィドと演奏した。
- 1853年 ライプチヒの出版社ゼンフにop5として手渡されたが、後にヘ短調ピアノソナタと差し替えられた。
- 1872年 アルバート・ディートリヒがワジレフシキーからイ短調ヴァイオリンソナタのヴァイオリンパートを見せられた。
文献上の証拠こそ確認しきれていないが、ヨアヒムとブラームスがこのソナタを演奏したことは確実と思われる。レーメニと別れてゲッティンゲンにヨアヒムを訪ねたブラームスは、すぐに意気投合し、何回か演奏会を開いた。公の場で演奏したかどうかはさておき、プライヴェートにイ短調のソナタが演奏されないとしたら、ちょっと不自然だ。
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