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2015年5月13日 (水)

緩める

弦楽器のチューニングにおいては、弦の張りを緩めると低い音を得ることが出来る。当たり前の話だ。実際に音を出しながらペグやアジャスターを回すが、「これにて決定」の瞬間は張ることで迎えるのが原則。緩めてチューニングを終えてはいけないという。

さて、世の中にはそのチューニングを演奏中にしなければならない曲がある。シューマンのピアノ四重奏曲の第3楽章だ。曲の末尾でチェロに実質16小節の休みがあり、その途中でC線を緩めてB音が出せるようにしろというのだ。プロの演奏家は実際の演奏会でどうしているのだろう。休みといっても他のパートは音を出しているから、邪魔にならぬように弦を緩めて、さらに開放弦でB音が鳴るようにキッチリと合わせねばならない。現実的ではないような気がする。

さらに不安なのは、続くフィナーレ第4楽章の冒頭に、このC線についての言及がないことだ。そのままB線状態を放置するのか、やっぱりC線に戻すのか判らない。書かんでも判るから書いていないのだとは思うが、一言挨拶が欲しいところである。

さて、コミックの世界ではもっと凄い例がある。

泣く子も黙るロングセラーの話だ。神業を誇る超A級スナイパーが主人公のあの作品だ。

古い話だが、1989年に刊行された単行本75巻に「G線上の狙撃」という話が載っている。バッハの「G線上のアリア」演奏中、主人公にG線を狙撃された、これまた世界的なヴァイオリニストがとっさにD線を緩めてG線の代わりとし、何事も無かったように演奏を続けたとある。

シューマンの四重奏の場合はCをBにする1音の下げだったが、こちらは5度の下げだ。実際にG音を出すことが出来ぬとは言えまいが、弦の張りが弱すぎて話にならないと思うがいかがだろう。もし弾けたとしても名人に相応しい音にはならないと思う。

このコミック自体は無論フィクションだが、時代背景や場面設定の緻密さが売りだ。それでもこの「D線緩めのG線化」には承伏しがたい矛盾を感じる。もしG線の代わりにE線が撃たれて、それでもA線ハイポジションを駆使して最後まで弾ききったという話だったら、ワンランク上の説得力を獲得していたに違いない。

ブラームスの室内楽へのこじつけに失敗したのでせめて、5月13日に公開してお茶を濁す次第である。

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コメント

てぃんぱにゃー様

ありがとうございます。G線打たれたらアウトでしょう。
高い弦なら何とかなるんだと思いますが。

ブログの裏側特集で濃いー世界の後もこれまた濃いーネタで(笑)早いうちに全文読破&毎日追いかけで撃ち落とし無し状態を作って置けてよかったと心から思います(笑)

そんな恐ろしい曲があるんですね^_^;弦楽器は全くわからない世界(演奏者が超能力者に見えるレベル)なので…(>_<)

G線上のアリアって演奏会でほんとにG線一本で弾いたりするものなんですかね?^_^;マンガだから、、、かな?

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