ヨアヒムの見立て
FAEソナタ。親友ヨアヒムを迎えるために、ロベルト・シューマン、アルバート・ディートリヒそれにブラームスの3名が分担して1曲のソナタを仕上げた。
贈られたヨアヒムは、楽章毎の作者をたちどころに言い当てたというエピソードが微笑ましい。これらの作品に対するヨアヒムの感想は、そのときこれ以上語られる事はない。
ところが、そこから50年以上も経ってから、ヨアヒムは意思表示をした。1906年だからヨアヒム自身の死の前年になって、ヨアヒムは先のソナタのうちブラームスが担当した第3楽章スケルツォについて出版に同意したのだ。その他の楽章はヨアヒムの生前には出版されることはなく、全楽章の出版は1935年を待たねばならない。
何よりヨアヒム自身の死の前年というのが意味深だ。そしてそのソナタの関係者は最年少のブラームスでさえこの世を去っている。関係者最後の生き残りで、作品に対する詳しい評価を語ることが無かったヨアヒムの無言の意思表示である可能性が高い。
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