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2015年6月30日 (火)

序奏考

音楽之友社刊行、作曲家別名曲解説ライブラリー7巻「ブラームス」の194ページ。ピアノ五重奏曲のフィナーレ第4楽章を解説する中、同楽章冒頭の「序奏」について以下の通り述べられている。

  1. 室内楽において、速い楽章の主部の前に、ゆるやかな序奏が置かれているケースは少ない。
  2. 特にフィナーレがそうなっているのは、このピアノ五重奏曲だけである。

あっけらかんと断言しているが、違和感がある。その違和感を整理してみる。

まず「主部の前にゆるやかな序奏を置いているケースが少ない」という以上、ほかにも例があるということに他ならない。序奏から主部に進む際にテンポの変動があるということだ。フィナーレがそういう構造になっているのは、ピアノ五重奏曲だけだが、他の楽章には、そういうケースが最低1箇所は存在するということだ。

どこだろう。速い主部の前という以上「緩徐楽章」は、脱落だ。「フィナーレはピアノ五重奏曲だけ」と言っているから、ピアノ五重奏曲以外の23曲の中にあるはずだ。第一主題に先行する部分が存在する楽章を以下に示す。

  1. 弦楽六重奏曲第2番第一楽章
  2. 弦楽六重奏曲第2番第四楽章
  3. チェロソナタ第1番第二楽章
  4. ヴァイオリンソナタ第1番第一楽章
  5. チェロソナタ第2番第1楽章
  6. 弦楽五重奏曲第2番第一楽章
  7. クラリネットソナタ第1番第一楽章

第一主題に先行する部分があるというだけで抽出した。しかし上記は第一主題に伴奏がわずかに先行するというニュアンスで、これを「序奏」とするのはかなり無理がある。仮にこれを序奏と認定したとしても、序奏と主部でテンポが変わらないから、「速い主部の前のゆるやかな序奏」というには難がある。

ピアノ五重奏曲のフィナーレ第4楽章の前におかれた序奏は、室内楽として唯一無二の「序奏」だと、シンプルに断言すればよいものを、何故か思わせぶりな婉曲表現をしたために、無用な混乱を招いている。もはや「婉曲」ではなく「事実に反する記述」つまり「誤り」と申してよい。

私なら、この種の序奏は第一交響曲の第一楽章とフィナーレ、ピアノソナタ第2番のフィナーレにしか存在しないと言いたいところである。

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