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2015年6月12日 (金)

un poco crescendo

poco意訳委員会の裁定に従えば「いくぶんクレッシェンド気味に」とでも解されよう。

  1. シューマンの主題による変奏曲op9 253小節目
  2. ピアノ四重奏曲第1番op25第2楽章107小節目
  3. ピアノ四重奏曲第1番op25第2楽章299小節目
  4. ピアノ五重奏曲op34第4楽章450小節目

上記の4箇所が存在するだけのレア指定である。一目で気付くのは初期の作品に限られていることだ。しかも全用例を通じて前後のダイナミクス表示が変化しない。つまり「un poco crescendo」は「pp」を「p」にしたり、「p」を「mp」にしたりも出来ないほどの微妙なダイナミクスの揺れと解し得る。起点のダイナミクスは上記の1番が「pp」であるが、残る3例は全部「p」になっている。つまり「f」系には縁のない指定だということになる。

「un」が脱落した「poco crescendo」は全部で90箇所を数える。用例が多いだけに分析の手がかりも多い。同時に存在する複数のクレッシェンドに度合いの差別化をする機能がはっきりと認められるのに対して、「un」が付着してしまうとその傾向もうかがえない。

この微妙さが、普段見過ごされていないか少し心配である。

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