讃歌
1853年7月24日。つまり162年前の今日ドイツ・ゲッティンゲンにてブラームスは友人と集まった。このときブラームス20歳。居合わせた2人と、ヨアヒムをからかうことになった。この日をヨアヒムの誕生日と見立てて室内楽を演奏することになりブラームスが室内楽の小品を書いた。
その作品のタイトルが「偉大なるヨアヒムを称えるための讃歌」(Hymne zur Verherrlichung des grossen Joachim)である。編成はヴァイオリン2本とコントラバスの三重奏で、コントラバスはチェロで演奏してもよいことになっている。イ長調4分の3拍子79小節の小品だ。
ブラームスのほかに居合わせた2人が演奏に参加したという。ブラームスの担当は第2ヴァイオリンであった。冒頭の2小節はブラームスつまり第2ヴァイオリンのソロだ。最初の音は「DとA」つまりヴァイオリン中央に張られた2本の開放弦の重音の4分音符。次が「GisとD」G線の一番低いソシャープとDの開放弦の4分音符。次は小節の最後の4分音符でAとEの開放弦だ。2拍目のソにシャープが付いているものの、もろに5度の連続である。これって平行5度の禁則に違反しないのだろうか。
ブラームスの第2ヴァイオリンには訳がある。この作品で誰がどのパートを担当するかは、面白いルールがあったらしい。つまり集まった3人がもっとも下手な楽器を受け持ったというのだ。
ブラームスがちっとはヴァイオリンを弾けた証拠でもあるし、裏を返せばヴァイオリン以外の弦楽器がヴァイオリンよりは上手に弾けたということとも取れる。
この日の69日後、ブラームスはデュッセルドルフにロベルト・シューマンを訪ねて、ロマン派音楽史上名高い対面が実現することになる。
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