「mesto」が似合う調
「悲しげに」と解される。ブラームスは下記の2回「mesto」を使用しているが、単独では用いていない。またパート系には出現しない。
- ホルン三重奏曲作品40第三楽章冒頭「Adagio mesto」
- インテルメッツォ作品118-6冒頭「Andante,largo e mesto」
ベートーヴェンも2回しか使っていない。ラズモフスキー四重奏曲第一番と、7番のピアノソナタどちらも緩徐楽章に現れる。ブラームスもベートーヴェンも「短調の遅い音楽」に使用している。おまけにブラームスの場合、2例とも変ホ短調になっている。全部で8つしかない貴重な変ホ短調である。フラット6個の調号が楽譜に座っているだけで、演奏前から重々しい気分が充満する。平行長調の変ト長調はさらに少なく作品33-8の歌曲に1回だけしかないので、この調号もっぱら変ホ短調用である。嬰ニ短調と見てもシャープ8個になってしまうし、アマチュアには鬼門である。そのあたりのうらぶれた感じがこの調の特徴かもしれない。
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