弦楽四重奏曲第2番
卒業間もないOBにとって、サークルの居心地はいい。顔見知りの後輩が現役でいる間の3年間は少なくとも居心地が保証される。ノリは解り合えているし、話題もあう。
私もそうだった。就職後いきなり大阪に配属になったというのに頻繁に帰省してはオーケストラに顔を出した。自宅が大学の近所というのはこの点何にも増して便利だ。故郷、配属先、母校が離ればなれになっていたら、事情は違っていたと思う。
たびたび部室を訪ねてはメンツを集めてカルテットを楽しんだ。一番多く取り組んだのが、本日のお題、ブラームス作曲弦楽四重奏曲第2番イ短調op51-2だ。第1ヴァイオリンは1コ下の男性で、第2ヴァイオリンとチェロが2コ下の女性というメンツ。みんなソコソコ弾けるので私が一番のネックみたいな感じだった。
はっきり言って私の好みが反映した選曲。しかも無謀。全楽章はとても無理だから、両端楽章だけ取り組んだ。それでもかなり無理目。ヴィオラに関して申せば個人練習の段階ですでに座礁気味。みんなと合わせると転覆である。難所の砂漠の中を数少ない旋律をオアシス代わりにという感じだ。フィナーレはもっと悲惨。意地悪がたくさんしくまれた音のパズルだ。それがブラームスの醍醐味と頭では判っていてもテクがついて行かない。
それでも1楽章だけは何とか止まらずに通るようになった。
だから今でもこの曲を聴くと脳味噌が甘酸っぱい液で満たされる。
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