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2015年8月10日 (月)

リズム感覚試験

「ポリリズム」と言うらしい。同時に複数の系統のリズムが鳴る現象のことである。

複数のパート間のリズムの衝突を味わう部分である。無論ブラームスはこれが大好きであるばかりかブラームス節の根幹でさえある。スラーが頻繁に小節線を跨ぐお陰で、肝心要の小節の頭を感じにくい構造が不安感に拍車をかける。この状態を和声的な衝突と共存させることで音楽に異様な推進力がこもる。全てはブラームスにとって計算ずくの話だ。やがて来る和声的解決と、リズム的な衝突の解消をより深く印象付けるための工夫と言って良い。

そうは言うものの、演奏者にとっては厄介である。弦楽四重奏第2番第1楽章にそうしたケースの典型が存在する。結末も程近い315小節目からの6小節間だ。ヴィオラと第2ヴァイオリンだけは同じリズムだが、第1ヴァイオリンとチェロは全く違うリズムが奏されている。しばしばスラーが拍頭を跨ぐので確固たるリズム感を全員が持ち合わせた上で、そのリズム感が一致していなければならぬという難所である。

別の人格が演奏するアンサンブルの方が、性質がいいのか悪いのか。独奏ピアノの右手と左手だとどうなるのかの格好のサンプルもある。パガニーニの主題による変奏曲には、はっきりと記譜上にポリリズムが出現する。第2巻109小節目第7変奏は、右手と左手で記譜上の拍子が違っているのだ。それも「4分の2」と「8分の6」程度ならかわい気もあるのだが、そうは問屋が卸さない。あろうことか右手が「4分の2」であるのに対して左手には「8分の3」が要求されている。「1小節を1拍で感じて」と言うのは容易だが、これを「vivace」のテンポに乗って「p leggiero e ben marcato」で駆け抜けねばならないのだ。

「難儀だ難儀だ」というニュアンスで書いたが、実はこれはブラームス節を強く定義付ける現象だ。ブラームス好きたるもの、このあたりを疎んじてはなるまい。

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