はしゃぎ過ぎを戒める
別作曲家の作品の中にブラームスの作品と似た旋律を発見すると、それだけで盛り上がってしまう癖がある。脳味噌の中が酸っぱい液で満たされて、あくまで冷静に単なる偶然であるという可能性を考えることが出来なくなる。
メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲ハ短調op66とブラームスのピアノ四重奏曲ハ短調op60が似ているという話は、古来取り沙汰されてきたが、これについての興味深いエピソードが音楽之友社刊行の「ブラームス回想録集」第1巻101ページに収録されている。
ブラームスは「あちらは旋律、こちらは伴奏」と言ってこれについて議論すること自体をナンセンスと言わんばかりの反応だ。
反省せねばならない。世の中類似性を指摘されている作品は数多いが、まずは偶然を疑ってかかるのが筋だ。わずかな類似点を根拠に、強引に論理を展開する風潮への警鐘と捉えたい。耳が痛い。
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