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2015年9月30日 (水)

テンポは世に連れか

ヴァイオリンソナタ第1番第1楽章冒頭から28小節目までの平均テンポをCDの演奏時間を元に調査した。速いものベスト10を以下に列挙する。

  1. 173.8 Jascha Heifetz                   1936 
  2. 168.0 Adolf Busch                       1936
  3. 165.2 Vikttoria Mullova                1995
  4. 165.2 David Oistrakh                   1957
  5. 160.0 Jean-Jacques Kantorow     1975
  6. 160.0 Szymon Goldberg               1953
  7. 160.0 Zino Francescatti               1952
  8. 155.1 Georg Kulenkampff             1947
  9. 155.1 Josef Szigeti                     1951
  10. 155.1 Aaron Rosand                    1993

奇妙なことに赤文字にした7名は、録音年が古い物ベスト10にも登場する。ためしに遅い物ベスト10を見ると、録音の古い物ベスト10に現れる名前はいない。

逆を見てみる。遅い物ベスト10のうち、5名が新しい録音ベスト10にも名を連ねている。

もしかすると、第一楽章冒頭テンポは、録音年と相関関係があるかもしれない。

2015年9月29日 (火)

師弟関係

ヴァイオリンに限らず、演奏家の経歴の中で「誰から習ったか」は重要な情報である。2時間のマスタークラスを1回受講しただけで、「師事した」うちに入るから別途注意も要るが愛好家にとっては、興味深い。これらの情報が拡大体系化されることで演奏上の「楽派」が形成されるからバカにならない。我が家所有のCDのヴァイオリニスト同士の間でも下記の通り、師弟関係が認められる。

<スターン>弟子は3名。

  • Isac Stern 1960                       144.0/132.6/148.2
  • Pinchas Zukerman 1974            134.4/132.6/132.6   
  • Itzhak Parlman 1983                 134.4/140.0/157.5
  • Shulomo Mintz 2003                 118.6/114.5/120.0

<シェリング>弟子は2名だが録音は3種類。

  • Henryk Szeryng  1960               144.0/132.6/148.2
  • Henryk Szeryng 1971                144.0/140.0/140.0
  • AnneSophie Mutter 1982           138.1/148.2/148.2
  • AnneSophieMutter 2009            134.4/140.0/140.0
  • Heinz Schunk 1987                   148.2/140.4/168.0

<オイストラフ>弟子は一人。

  • David Oistrakh 1957                 165.2/148.2/168.0
  • David Oistrakh 1972                 142.0/132.6/140.0
  • Gidon Kremer 1987                  120.0/105.0/120.0

<コーガン>弟子は一人。

  • Leonid Kogan 1955                   142.0/148.2/168.0
  • Viktoria Mullova 1995                165.2/157.5/168.0

<シュナイダーハン>弟子は一人。

  • Wolfgang Schneiderhan 1952      144.0/148.2/168.0
  • Gerhart Hetzel 1992                  152.7/140.0.157.5

<グリミョー>弟子は一人だが録音は2種類。

  • Artur Grumiaux 1976                 150.4/148.2/157.5
  • Augstin Dumay 1978                 139.0/131.4/141/2 
  • Augustin Dumay 1991                141.0/137.7/146.0 
  • Augstin Dumay 2014                  137.8/128.4/141.3 

<ブランディス>弟子は一人。

  • Thomas Brandis 2003                 144.0/132.6/140.0
  • Daniel Gaede 2011                     126.0/132.6/148.2

さらに師匠の側の録音は存在しないものの、同じ師匠についた兄弟弟子も下記の通り存在する。

<カール・フレッシュ>

  • Szymon Goldberg 1953              160.0/157.5/157.5
  • Henryk Szeryng  1960               144.0/132.6/148.2
  • Henryk Szeryng 1971                144.0/140.0/140.0

<ギンゴールド>

  • Jaime Laredo 1983                   142.0/132/6/148.2
  • Daniel Gaede 2011                    126.0/132.6/148.2

<ガラミアン>

  • Pinchas Zukerman 1974            134.4/132.6/132.6
  • Jaime Laredo 1983                   142.0/132/6/148.2   
  • Itzhak Parlman 1983                 134.4/140.0/157.5
  • Robert Mann 1993                   146.1/132.6/157.5
  • Kyung-Wha Chung 1995            138.1/132.6/140.0

テンポについてみる限り、弟子とて師匠に盲目的に追随というわけではないとわかる。ましてや兄弟弟子では一致するはずもない。ガラミアンの弟子たちは4人もいてバラバラのパターンだ。

2015年9月28日 (月)

デュメイさんの場合

ムターの新旧両盤が、「con anima」の解釈において同じ傾向を踏襲していると昨日書いたばかりだ同様にデュメイの新旧両盤についても調べてみた。

  1. Augstin Dumay 1978                 139.0/131.4/141/2  314
  2. Augustin Dumay 1991                141.0/137.7/146.0  314
  3. Augstin Dumay 2014                  137.8/128.4/141.3  314

分類型「314」は、29小節目でテンポを落とし、36小節目で冒頭テンポ以上に速くなるというパターン。時を隔ててもこれが律儀に守られている。

2015年9月27日 (日)

本能の命じるまま

ヴァイオリンソナタ第1番第一楽章36小節目に存在する「con anima」が演奏家によりどう処遇されているか我が家のCDコレクションの演奏時間から調査分析した。

複数回録音の4名のうち、以下の通りムターだけが分類パターンがかわっている。

  1. AnneSophie Mutter 1982           138.9/148.1/143.5  354
  2. AnneSophie Mutter 2009            135.3/135.8/145.7  334

旧盤は1982年で新盤は2009年の録音。ピアニストは別人だ。解釈の変更などと騒ぐのはおそらく愚の骨頂だ。本能の赴くままにきまっている。

2015年9月26日 (土)

クレーメルさんの事情

ギドン・クレーメルは1947年ラトビア共和国リガ生まれのヴァイオリニスト。私が若いころ、彼がウィーンフィルと共演したヴァイオリン協奏曲の画像がうれしくて何度も見た。

ヴァイオリンソナタのCDもある。あるにはあるが何かにつけて異彩を放っている。今回の調査はテンポだけを異常にクローズアップしたものだが、とにかく遅い。冒頭、29小節目、36小節目どれをとってもトップの遅さだ。ソナタ全体の演奏時間も全楽章で36分もかかる。もっとも速いムローヴァの演奏なら2番の2楽章が終盤に差し掛かるころだ。

テンポの遅さもさることながら、揺れ幅も大きい。音楽の場面、段落が切り替わるたびに、大見栄を切る感じ。歌舞伎みたいにその都度「どうだ」という感じ。ソナタとしての枠組みや流れは顧みられていない。

楽譜に記載のない場所で、テンポやダイナミクスが頻繁に変動する。36小節目の「con anima」が演奏上どう処遇されているかは、相対的に位置づけが低い。冒頭から28小節間の演奏時間から、その間の平均テンポを算出しても、その値にはほぼ意味がない。

「雨の歌の主題による幻想曲」というコンセプト。ソナタだと思わなければ、楽しめる。

2015年9月25日 (金)

歳とともに

まずは以下のリストをご覧いただく。冒頭/29小節/36小節のMM値。

  1. David Oistrakh 1957                 166.4/150.2/167.3  313
  2. David Oistrakh 1972                 140.8/131.3/140.5  313
  3. Henryk Szeryng  1960               144.0/133.1/145.1  313
  4. Henryk Szeryng 1971               143.6/138.8/143.3  313
  5. Augstin Dumay 1978                 139.0/131.4/141/2  314
  6. Augustin Dumay 1991                141.0/137.7/146.0  314
  7. Augstin Dumay 2014                  137.8/128.4/141.3  314
  8. AnneSophie Mutter 1982           138.9/148.1/143.5  354
  9. AnneSophieMutter 2009              135.3/135.8/145.7  334

我が家のコレクションで同じヴァイオリニストが複数あるのはこの4組だけだ。オイストラフとデュメイは29小節目で下げたテンポが36小節目で引き上げられるという王道パターン。ムターは29小節目でテンポが上がるパターン。

2015年9月24日 (木)

コンマスの系譜

まずは黙って以下のリストをご覧いただく。

  1. Wolfgang Schneiderhan
  2. Szymon Goldberg
  3. Heinz Schunk
  4. Gerhart Hetzel
  5. Robert Mann
  6. Andrew Hardy
  7. Werner Hink
  8. Thomas Brandis
  9. Iwao Furusawa
  10. Daniel Gaede
  11. Rainer Schmidt
  12. Viktoria Mullova
  13. Tooru Yasunaga
  14. Georg Kuhlenlkampf
  15. Tsugio Tokunaga

我が家所有のヴァイオリンソナタ第1番のCDの中で、ヴァイオリニストの経歴の中にコンサートマスター経験が書かれている人だ。ソリストとして有名な人でも、出世の過程でどこぞのオケのソロコンサートマスターのポストを経験しているケースも含んでいる。録音の時点でコンマス在職中であったかどうかは別の話だ。

Goldbergさんはベルリンフィルのコンマスだ。時代はカラヤンの前だ。Schunkさんはベルリン国立歌劇場管弦楽団のコンマス。Mannさんはジュリアード弦楽四重奏団のコンマスで、ヴァイオリンソナタ録音時には73歳だったという我が家の最長老CDだ。Brandisさんはカラヤン時代のベルリンフィルでコンマスだった。

  • Schneiderhan
  • Hetzel
  • Hink
  • Gaede

この4名はウィーンフィルの歴代のコンサートマスターだ。テンポや解釈はさまざまだけれど、ピアノとのバランスを崩さない配慮、我を忘れたようなあられもない「フォルテ」が現れない、重音奏法の場面で力が抜けている、くぐもったような音色などの諸点に共通するものを感じる。私の好きな系統の演奏だ。

2015年9月23日 (水)

記念日

ブラームス愛好家を長くしていると、いくつかのはずせない記念日が出来る。

  1. 4月3日 ブラームスの命日
  2. 5月7日 ブラームスの誕生日
  3. 5月20日 クララの命日
  4. 9月13日 クララの誕生日

これらに著名な作品の初演日も付け加えられる他、クリスマス、正月、ひな祭りなどの一般の記念日もある。

さらに我が家独自の記念日もある。家族の誕生日、命日、結婚記念日だ。「ブラームスの辞書」の刊行記念日も忘れ難い。

ブログ「ブラームスの辞書」は、こうした記念日をしれっとやり過ごしたりしない。毎回巨大なイベント記事という訳にも行かないが、生活の一区切りとして律儀に言及を続けたい。一般の記念日やブラームス関連の記念日が増えて行くことはないが、家族の記念日は、時間と共に増えて行く。そのうちに子供たちの結婚記念日が加わり、やがて孫の誕生日もやってくる。

ブラームスの生誕200年まであと18年だ。途方に暮れているばかりでは能がない。たとえば仮にこの手の記念日が年に10個あれば、そのことに実直に言及するだけで180本の記事なるのだ。希望が湧く話である。

人々は古来、何かにつけて記念日を設けて生活にアクセントを付けてきた。私もこれに粛々と続くのみである。ブログ記事のネタ確保という観点からも好都合である。

2015年9月22日 (火)

演奏時間

CDジャケットには、収録された作品の演奏時間が秒単位で書かれていることが多い。予備知識なくこの数値に接した場合、演奏の鳴り始めから、演奏の終了までの時間だと解釈するのが普通だ。ライブ録音の場合だと、演奏後の拍手の時間までカウントされている場合もある。

業界で統一の定義はないのだろうか。演奏時間ではなくてトラックの所要時間と読み替えた方がよさそうだ。トラックが始まってから次のトラックが始まるまでの時間になっているようだ。演奏時間として記載された時間をイコール演奏時間だと鵜呑みにするとこれが大きな間違いだ。演奏時間からテンポを割り出そうとすると、演奏時間の表示では役に立たない。

我が家のヴァイオリンソナタのCDで申せば、表示「0」から演奏が再生されるCDの方が少ないといっていい。多くは1、2秒後から演奏が再生される。そうとわかれば対処のしようもあるのだが、演奏が始まるまでの時間がバラバラで気持ちが悪い。

この空白がもっとも長いのがパメラ・フランクの演奏だ。演奏の始まりまで6秒強ある。「あれ」と不安になったころにはじまる感じ。

2015年9月21日 (月)

順次下降

低い方に向かって音階通りに下がって行く進行のこと。

大好きなヴァイオリンソナタ第1番の第一楽章36小節目から始まる第2主題、「con anima」の場面、ピアノに耳を傾けてて欲しい。36小節目からの第二主題は端正な4小節フレーズ。4分の6拍子の1小節が、4分音符3個ずつにグルーピングされる。ヴァイオリン側のスラーのかかり方から見ても1小節が2つに割られると判る。指揮なら2つ振りされる1小節の拍頭ピアノ右手にご注意いただく。
36小節から3小節の間「D→Cis→H→A→G→Fis」と続く。ニ長調の順次下降だ。次女の名付けに腐心していたころ、楽譜を見ながらこの旋律を何度も何度も聴いた中で、この順次進行の美しさに心を奪われた。同じ場所、ピアノの左手側は同じく拍頭で低い「D音」が執拗に鳴らされる。ノリとしては保続低音「オルゲルプンクト」だ。
ブラームスらしいささやかなサプライズは39小節目に用意されている。小節を2つに割っていたはずのピアノの右手が、突如小節を3つに割る。「E→D→Cis」という具合だ。ヴァイオリンの旋律は変わらずに小節を2分するようなスラーがかかっているから、真ん中の「D音」のところで、リズム的な軽い衝突が起きる。「4分の6」と「2分の3」が同時に鳴るということだ。ここでピアノが順次進行を守りながら、「E→D→Cis」を無理やり1小節に押し込むことで、小節の末尾に「A7」を作り出す。これがオクターブ上げられたニ長調第二主題確保のさりげない準備になっているという論理性がまぶしい。
そうして始まる40小節目は、「con anima」の主題の裏では先の順次下降がピアノの左手に移されている。もちろん43小節目では「E→D→Cis」の押し込みも保存されている。
さてさて話は一気に174小節目に飛ぶ。「con anima.」の第二主題が再現される場面だ。慣例に習って再現は原調のト長調。ピアノの右手の拍頭に目をやれば「G→Fis→E→D→Cis→H」という順次下降に続いて「A→G→Fis」という圧縮もキッチリと現れる一方で左手には「G音」がキッチリ保続される。
ピアノが奏でる順次下降と保続低音は、ヴァイオリンの超美しい第二主題をいつくしむように取り囲む空気と大地のようだ。
あるいは、あるいはもしかすると「父と母」かと感じたことが、次女への名付けの決定打になった。

2015年9月20日 (日)

フレッシュさんのテンポ

カール・フレッシュは、大ヴァイオリニストにして偉大な教師。門下から次々と名手を輩出したことで知られている。ピアニスト・シュナーベルと組んだ二重奏は、時を隔てても語り継がれている。我が家には、この2人が校訂したヴァイオリンソナタ第1番の楽譜がある。オリジナルの用語に加えて2人の手による指示の追加も多い。フォントを変えてくれてはいるが慣れないうちは判別が難しい。

第一楽章の冒頭にはメトロノーム値が書かれている。「付点2分音符=56」となっている。さらに「con anima」の鎮座する36小節目にも「付点2分音符=63」と書かれている。4分音符になおすとそれぞれ「168」「189」になる。先般公開した記事「結果公表」の中、古今のCDの演奏時間から割り出したテンポと比較してほしい。

楽章冒頭で最もテンポの速いのが「189.2」のカガンだ。フレッシュさんのテンポより速いのは、68名のうち、カガン、ブッシュ、ハイフェッツ、シュミット、パメラ・フランクの5人だけだ。そのはずで68名の平均は「146.8」に過ぎない。

さらに「con anima」の鎮座する36小節目のテンポでもっとも速いのは、ブッシュで「191.5」である。フレッシュさんの言う「189」に届いているのはもう一人カガンだけ。平均は「152.8」に過ぎない。

上げ幅でいうと、16%増しだ。冒頭テンポに対する増し幅は、ダニエル・ゲーデの21.7%が最大になる。フレッシュサンの上げ幅に届いているのは、マイスキーとパールマンを加えた3名でしかない。上げ幅の平均たるや4.3%でしかない。

私のコレクションが偶然、遅い人たちばかりという可能性もあるにはあるが、やはりフレッシュさんのテンポが現代の主流よりは速すぎるのではないかと思う。フレッシュさんの愛弟子、シェリングさんもこのテンポを採用していない。

2015年9月19日 (土)

パターンの分類

ヴァイオリンソナタ第1番第一楽章36小節目に書かれた「con anima」について、古今のヴァイオリニストがどう解釈しているかについて、テンポを切り口にして考察を試みるプロジェクトの真っただ中である。所有しているCDを再生してチェックポイントごとにタイムを測って、テンポを計算する中から36小節目のテンポ変動の傾向を突き止める。

既に測定結果は公表した。これに基づいてパターンの分類を以下のように試みた。

311型

  1. 29小節目:テンポダウン
  2. 36小節目:テンポ動かず
  3. 29小節目はテンポ指示無しにもかかわらずテンポを落とし、「con anima」の指示を得た36小節目ではテンポが動かない。
  4. トラムマとチェリストのヘレド2名が採用する。

312型

  1. 29小節目:テンポダウン
  2. 36小節目:テンポアップ
  3. 29小節目はテンポ指示無しにもかかわらずテンポを落とし、「con anima」の指示を得た36小節目からテンポアップするものの、楽章冒頭のテンポには達しない。
  4. シゲティ、テルネンバウムの2名が採用する。

313型

  1. 29小節目:テンポダウン
  2. 36小節目:テンポアップし
  3. 29小節目はテンポ指示無しにもかかわらずテンポを落とし、「con anima」の指示を得た36小節目から楽章冒頭のテンポに復帰する。MM=2以内の相違は無視した。
  4. フランチェスカティ、オイストラフ2種とも、シェリング2種とも、クレーメル、カガン、パメラフランク、ミンツ、カピュソン、古澤、アサートン(Vc)の12種。MM=2以内は誤差とみなした。

314型

  1. 29小節目:テンポダウン
  2. 36小節目:テンポアップ
  3. 29小節目はテンポ指示無しにもかかわらずテンポを落とし、「con anima」の指示を得た36小節目から楽章冒頭のテンポを超えてアップさせる。
  4. 採用数最多で36種。半数以上53%が採用する。

321型

  1. 29小節目:テンポダウン
  2. 36小節目:テンポさらにテンポダウン。
  3. 29小節目はテンポ指示無しにもかかわらずテンポを落とし、「con anima」の指示を得た36小節目では、さらにテンポを落とす。
  4. ゴールドベルク、マンの2名が採用する。

333型

  1. 29小節目:テンポ不変
  2. 36小節目:テンポ不変
  3. テンポの変動がないパターン。元々何も指示がない29小節目でテンポが動かさないことに加え、「con anima」と書かれた36小節目でもテンポアップを志向しない。「楽譜通り」と言われればその通り。
  4. 我が家のコレクションの中ではゴールドシュタインだけがこのパターン。

334型

  1. 29小節目:テンポ不変
  2. 36小節目:テンポアップ
  3. テンポの指示がない29小節目は何もせずにやり過ごす。「con anima」のある36小節では、テンポアップする。ある意味で楽譜通り。
  4. 我が家のコレクションでは、アモイヤルとムターの新盤のみが採用する。

342型

  1. 29小節目:テンポアップ。
  2. 36小節目:テンポダウン。
  3. テンポの指示がない29小節目でテンポアップ。「con anima」のある36小節では、冒頭テンポ未満に落とす。
  4. 我が家のコレクションでは、シュタルケル(Vc)のみが採用する。

343型

  1. 29小節目:テンポアップ。
  2. 36小節目:テンポダウン。
  3. テンポの指示がない29小節目はテンポアップ。「con anima」のある36小節では、テンポを落として冒頭テンポに戻る。
  4. 我が家のコレクションでは、ファウストのみが採用する。

345型

  1. 29小節目:テンポアップ。
  2. 36小節目:テンポアップ。
  3. テンポの指示がない29小節目はテンポアップ。「con anima」のある36小節では、さらにテンポを上げる。
  4. コーガン、パールマン、マイスキー、コットマン、グルベルト、ゲーデ、メニューインの6種。

354型

  1. 29小節目:テンポアップ
  2. 36小節目:テンポダウン
  3. 29小節目はテンポ指示無しにもかかわらずテンポを上げ、「con anima」の指示を得た36小節目では、テンポを落とすものの楽章冒頭のテンポにまでは落ちない。
  4. ムターの旧盤だけ。

2015年9月18日 (金)

29小節目

ヴァイオリンソナタ第1番第一楽章の36小節目におかれた「con anima」のテンポがどう取り扱われているかということを調べる過程で奇妙なことに気付いた。

我が家のCDの演奏時間を調べてテンポを割り出す作業をするにあたって、当初36小節目に入るタイムを計測していた。これにより冒頭から35小節間のテンポが計算で求まると見込んだ。「con anima」のある36小節目以降と比較することで、「con anima」がテンポ上どう処理されているかが浮かび上がるという寸法だ。ところが、CDを聴きこんで行くうちに29小節目からの7小節間でテンポが変わる演奏が多いことに気付いた。29小節目からの7小節間の時間も計測して以下の通りの部分テンポを求めねば意味がないと直感した。

  1. 冒頭
  2. 29小節
  3. 36小節 con anima

結果は劇的だった。68種のCDのうち29小節目でテンポを動かさない演奏は3種類だけだった。「con anima」の置かれた36小節目でテンポを動かさないのは4例。この7小節間はピアノもヴァイオリンも8分音符で拍が割られることが無いから、律動感が希薄だ。インテンポで演奏しても静まって聞こえる。黙っていても36小節目とは対照的になっている。それでものここでテンポをいじる解釈が主流になっていることがはっきりした。

36小節目の「con anima」は、29小節目からのテンポとの対比こそが、表現の妙であり、必ずしも冒頭テンポとの相対ではない。鑑賞の際29小節目を意識することで、グッと面白さが増す。

2015年9月17日 (木)

ラップタイム

ヴァイオリンソナタ第1番第一楽章のテンポについて盛り上がっている。29小節の始まり、36小節の始まり、43小節の始まりで、曲頭からの演奏時間を測ってテンポを計算で割り出す作業が楽しかった。

スマホのストップウォッチ機能に大変お世話になった。スタートを押して、ストップを押すまでの所要時間が測れるというのが、本来の意味のストップウォッチなのだが、その機能だけしか使えないと、3度再生しなければいけない。数種類ならまだしも68種類のCDで測定するとなると大変なことだ。

ところが、スマホのラップタイム測定機能は素晴らしい。演奏の始まりでスタートキーにタッチするのは変わらないが、演奏が29小節、36小節に差し掛かったところで、「ラップタイム」のキーをタップし、最後の43小節目でストップを押せばいい。

ストップウォッチ機能に頼ると、最低3度再生せねばならないのに対し、ラップタイム機能を使うと1度の再生で済む。これはかなりな節約だ。測定がサクサクすすむ。

しかも計測は百分の1秒単位だ。表示窓目視だと1秒単位になるので大きな誤差になる。29小節と36小節を起点に、たった7小節間を測るとなると、1秒の誤差でメトロノーム値にして12.7の誤差を生む可能性がある。この誤差は巨大で、放置すると分類パターンの作成には大きな支障になる。これが100分の1秒となれば、誤差はメトロノーム値にして1未満になる計算だ。12.7ともなれば人間の耳でも峻別可能だが、1未満なら正真正銘の誤差扱いが可能になる。

暑いのにオバカな話がとまらぬ。

2015年9月16日 (水)

「con anima」の考察②

「con anima」の考察第2弾。29小節目から36小節目へのテンポ変動の幅について考察する。36小節から7小節間のテンポが29小節から35小節までのテンポに対してどれほど変化するのかという話題。最大の変動は128%だ。この上げ幅は安永徹さん。

最低は、76.7%つまりテンポダウンだ。チェリストのシュタルケルさんだがこの値はいささか異常値だ。この上はムターの旧盤で96.7だからほぼテンぽ維持だ。平均は109.6%。

しかししかし、演奏家当の本人は、パーセンテージで認識はしていないだろう。感覚の赴くままテンポを設定しそれが、比率で申せば109.6%に相当するというこどだ。

平均値にはさしたる意味はない。お遊びだ。

2015年9月15日 (火)

「con anima」の考察①

ヴァイオリンソナタ第1番第1楽章36小節目に鎮座する指定「con anima」に直面した演奏家が、それをどのようにして演奏に反映させているのかについて、所有するCDの演奏時間から、テンポを割り出して比較する試みについて考察する。

  1. 問題の36小節目では、CD68種のうち、62種91.2%でテンポが上がっている。テンポ変動がないのはヴィオラのバーバラ・ウエストファルただ一人。テンポを下げる演奏は残る5例となる。
  2. 「con anima」の処理としてテンポアップが有力な手段になっているとわかる。
  3. 一方で、なんら指定が書かれていない29小節目では、68種中95.6.%の65例の演奏がテンポを動かしている。54例がテンポを落とし、11例がテンポを上げている。テンポ不変は3例にとどまる。「con anima」が書かれた36小節目と同レベルでテンポ変動が常態化しているとわかる。
  4. 29小節目は最速が172.5、最遅が104.8、平均140.0となり、冒頭や36小節目に比べテンポ選択のレンジが広い。36小節目「con anima」を控えて演奏家が工夫を凝らしていることがわかる。
  5. 29小節目でテンポを落とし、かつ36小節目でテンポを上げている演奏は、52例76.5%あり、パターン別では最多となる。

「con anima」の処遇におけるテンポアップは、あくまでも選択肢の一つに過ぎない。必要以上に重く見ることは慎まねばならないが、有力な手段であることもまた否定できない。36小節目でテンポを上げない解釈にも耳を傾けたい。また、「con anima」36小節目に先立つ準備段階としての29小節目の重要性も合わせて認識を深めることができた。

68種の演奏で、「冒頭」「29小節目」「36小節目」の3箇所のテンポが全て一致するというケースは一組もなかった。この多様性こそが解釈の面白さであり、演奏家の個性の発露であると改めて実感した。また同じテンポでも聴いた感じが全く異なることは、日常茶飯であり、テンポが音楽表現の狭い一面でしかないことを再確認できた。

     

2015年9月14日 (月)

結果公表

先日発信した手順によって収集したデータを公開する。ヴァイオリニスト名、録音年、「1~28のテンポ」「29~35のテンポ」「36~42のテンポ」「分類パターン」の順に記載する。

  1. Adolf Busch 1936                     168.5/168.3/191.5  314
  2. Jascha Heifetz 1936                 172.6/162.2/184.8  314
  3. Georg Kulenkampff 1947           153.9/134.7/159.8  314
  4. Josef Szigeti 1951                    156.1/142.1/147.9  312
  5. Zino Franchescatti  1952           159.7/152.1/157.7  312
  6. Wolfgang Schneiderhan 1952      145.0/135.8/152.4  314
  7. Szymon Goldberg 1953              162.0/158.2/155.2  321
  8. Gioconda de Vito 1954              153.1/137.4/156.9  314
  9. Leonid Kogan 1955                   143.3/148.3/151.6  345
  10. David Oistrakh 1957                 166.4/150.2/167.3  313
  11. Henryk Szeryng  1960               144.0/133.1/145.1  313
  12. Isac Stern 1960                       146.2/133.3/157.5  314                            
  13. Josef Suk 1967                        149.5/143.0/165.6  314 
  14. Henryk Szeryng 1971               143.6/138.8/143.3  313
  15. David Oistrakh 1972                 140.8/131.3/140.5  312
  16. Pinchas Zukerman 1974            135.3/126.5/138.5  314
  17. Jeanjacques Kantorow1975        159.7/144.8/162.3  314
  18. Artur Grumiaux 1976                 151.2/145.5/154.4  314
  19. Toshiya Eto 1977                     160.2/157.9/166.4  314
  20. Augstin Dumay 1978                 139.0/131.4/141/2  314
  21. AnneSophie Mutter 1982           138.9/148.1/143.5  354
  22. Yehhdi Menuhin 1983                149.5/152.4/173.1  345
  23. Itzhak Parlman 1983                  134.5/141.0/156.7  345
  24. Jaime Laredo 1983                   142.0/131.7/148.6  314
  25. Lola Bobesco 1983                   153.8/147.8/167.8  314
  26. Boris Goldstein 1987                148.5/147.3/148.3  333
  27. Heinz Schunk 1987                   148.4/136.7/170.0  314 
  28. Gidon Kremer 1987                   119.7/104.8/121.1  313
  29. Oleg Kagan 1988                      189.2/171.8/189.5  313
  30. Tooru Yasunaga 1989                143.7.127.5/163.2  314
  31. Pierre Amoyal  1990                 138.6/137.6/148.1  334
  32. Janos Starker(Vc) 1990             149.0/172.5/132.4  342
  33. Augustin Dumay 1991                141.0/137.7/146.0  314
  34. Keiko Urushibara 1992               135.0/119.7/143.8  314
  35. Gerhart Hetzel 1992                  154.2/138.3.158.4  314
  36. Robert Mann 1993                    145.6/132.4/130.0  321
  37. Aaron Rosand 1993                  156.5/140.2/171.1  314
  38. Kyung-Wha Chung 1995            139.3/132.8/142.5  314
  39. Rainer Schmidt  1995                172.7/169.8/175.6  314
  40. Viktoria Mullova 1995                164.5/157.1/174.8  314
  41. Pamela Frank  1996                  170.1/154.6/168.6  313
  42. Mischa Maisky(Vc) 1996             119.1/126.2/139.6  345
  43. Tsugio Tokunaga 1996               121.9/115.0/126.3  314
  44. Andrew Hardy 1997                   136.7/123.3/142.6  314
  45. Alois Kottmann 1997                  145.5/150.1/153.5  345
  46. Isabelle van Keulen 1997            161.2/147.7/170.7  314
  47. Salvaore Accardo  1997             138.0/131.4/145.2  314
  48. Elisabeth Batiashvili 1999           143.2/124.8/153.0  314
  49. Werner Hink 2002                      138.1/132.6/148.2  314
  50. Christian Tetzlaff 2002               147.8/139.8.169.5   314
  51. Shulomo Mintz 2003                   118.6/113.7/117.5  313
  52. Thomas Brandis 2003                 142.8/131.0/150.7  314
  53. Mela Tanenbaum 2004                148.5/137.0/141.1  312 
  54. Iwao Furusawa 2005                   140.4/126.4/139.5  313
  55. Ronaud Capuson 2005                133.7/121.9/133.5  313
  56. Lenny Schranze 2006                 133.2/126.6/145.1  314
  57. Sonia wieder-Atharton(Vc) 2006  150.3/135.0/152.0  313
  58. Thomas Albertus Irnbergr 2007    142.3/136.8/152.5  314 
  59. Isabelle Faust 2007                    160.1/163.0/158.9  343
  60. Patrice Fontanarosa 2008           165.2/158.5/168.4  314
  61. AnneSophieMutter 2009              135.3/135.8/145.7  334
  62. Ludvico Tramma 2009                161.1/155.8/157.2  311
  63. Ilya Grubert 2010                       126.7/128.8/139.6  345   
  64. Tomoko Kato 2010                     143.0/133.3/154.7  314
  65. Simca Heled(Vc) 2010                131.5/129.4/129.8  311
  66. Daniel Gaede 2011                     125.8/135.0/153.1  345
  67. Barbara Westphal 2013               149.6/155.5/156.7 344
  68. Augstin Dumay 2014                  137.8/128.4/141.3  314

こんなにあったかという感じ。

2015年9月13日 (日)

クララの評価

「ピアノとヴァイオリンのための二重奏ソナタ」つまり「ヴァイオリンソナタ」は、古来名曲を育んできた。ブラームスが後世に残したのは以下の3曲だ。

  • 1番ト長調op78
  • 2番イ長調op100
  • 3番ニ短調op108

このうちしばしば「雨の歌」と呼ばれる1番がクララとフェリクス母子に関係が深いことはすでに何度も述べてきた。クララは「心の最も奥深い感じ易い琴線が共鳴する」と日記に書いた。

3番ニ短調もまたヨアヒムとのプライヴェートな二重奏の後で「口に言えないくらい好き」と書き記している。

となると残る2番についてクララが何か言っていないか気になる。

あった。2番を通して弾いたクララは「みじめな気持ちを全部取り去ってくれる」と書いた。次男フェルディナンドの病気から来る気苦労を指していると思われる。

クララはブラームスのヴァイオリンソナタがお気に入りだ。気が合う。今日はクララの誕生日。

2015年9月12日 (土)

オプショナルツアー

パックツアーの参加者が、旅程の途中で選択可能な小旅行のことか。ブログ「ブラームスの辞書」で展開中の「室内楽ツアー」も、中盤。現在「企画内企画」名づけて「雨の歌ツアー」だ。

「室内楽ツアー」はブラームスの室内楽について作曲年代順に小さな関連コラムを堆積させるという枠組みだ。このうちヴァイオリンソナタ第1番ト長調op78だけについては、破格の記事数を用意した。「雨の歌月間」としたいのだが、記事の公開は9月では終わらないので、「月間」という言葉はなじまない。

この作品が、大好きというだけではすまないもう一つの事情、次女の名付けとの関連には既に触れておいた。

2015年9月11日 (金)

未完の約束

2006年3月のことだ。小学校を卒業する長女と、約束をした。中学に進んでもヴァイオリンのレッスンを継続する約束をした。同時に目標の設定もした。

その目標とは。

中学に通う3年の間に2度やってくる、ヴァイオリンの発表会で、必ずブラームスのソナタを演奏すると約束した。具体的にはヴァイオリンソナタ第一番の第三楽章とした。先生に申し出て同意がもらえるよう精進しようと決めた。

中学3年の5月突然レッスンを打ち切ってその約束は達成されることなく終わった。その長女も今大学4年。昨年3年生の夏から、着々と就活の準備を進め、志望する業界についての知識には舌を巻くほどだ。テーマの絞り方、情報の消化の仕方等々、まさに私のDNAを感じさせる1年間だった。

2015年9月10日 (木)

測定の手順

「con anima」の表示でテンポがどう処理されているかを確認するために、我が家にあるCDについて以下の要領で調査する。

<用意するもの>

  • CDプレーヤー
  • ヴァイオリンソナタ第1番を収録したCD
  • ストップウォッチ スマホが便利。
  • スコア
  • メモ帳
  • ボールペン

<調査目的>

  1. 第一楽章36小節目のテンポがどう変動するか、あるいは変動しないかの確認。
  2. 29小節目から7小節間は、直接の表示はないものの、テンポが緩んでいることが多いので、その間のテンポも測定する。
  3. 1小節目から28小節目までのテンポも測定する。
  4. 2あるいは3と1を比較することで、「con anima」の処理の実態を俯瞰する。
  5. 同楽章は4分の6拍子だから、小節数を6倍すると4分音符の数が得られる。所要秒数を測定して、除することで、「1秒間あたりの4分音符の数」がわかる。これを60倍すれば、当該小節間の平均メトロノーム値が求められる。

<調査項目>すべてのCDを再生して以下の時間を測る。

  1. 第一楽章の始まりの瞬間にストップウオッチを押す。なかなか難しい。鳴り始めよりは必ず少し遅れるが仕方ない。
  2. 第一楽章の29小節目に入る瞬間に、ラップタイムをタップする。
  3. 第一楽章の36小節目に入る瞬間に、ラップタイムをタップする。
  4. 第一楽章の43小節目に入る瞬間にストップを押す。36小節目からの第二主題は4小節単位で2回分の計8小節だが、43小節目で大きくテンポが緩むケースが多いので、43小節目を含めてしまうと、立ち上がり36小節のテンポより遅い値が出てしまう。テンポの緩まない演奏もある中、より正確な比較ができるよう42小節目までの7小節間の平均テンポを採用する。

<わかること>

  1. 「1~28小節」「29~35小節」「36~42小節」それぞれの平均テンポ
  2. 「con anima」の表示された36小節での変化
  3. 何ら表示のない29小節目での変化
スマホのストップウオッチは100分の1秒単位で計測出来る。36小節目から42小節いっぱいにかかる最終ラップは、たった7小節間なので1秒の誤差で大きく狂う。この精度はありがたい。

2015年9月 9日 (水)

「con anima」の処理

ヴァイオリンソナタ第1番第1楽章36小節目。第二主題が始まるところに「con anima」と書かれている。「animato」は副詞で、「con anima」は副詞句だから、意味は同じとされている。注意が要るのは、これがテンポを直接操作する指示ではないことだ。その証拠は以下の2つ。

  1. 全てのパートに付与されるわけではない。
  2. テンポをリセットする表示が追随しない。

「いきいきと」という感じが出ればよろしいということで、その先は演奏家の判断に任される。大好きなこの「con anima」について、古今の演奏家の残したCDを頼りに、「con anima」の解釈の傾向を突き止めることにする。

とはいえ、ヴァイオリニストたちは、「con anima」や「animato」を演奏に転写する手段としてテンポを上げることを採用するケースが多い。我が家にあるCDを頼りにテンポを割り出して比較することにする。

本日はその宣言で、明日以降その顛末を発信する。

2015年9月 8日 (火)

名づけの根拠

今から20年前の9月。我が家が次女の誕生を待っていた頃。既に女の子と判っていたから、名前も決めていた。1歳8ヶ月違いの姉と1音違いのとっておきの名前。ブラームスに素晴らしく関係した名前で、私の発案に妻が賛成して決めたものだ。

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写真はブラームスのヴァイオリンソナタ第1番第一楽章。③とあるのは36小節目だ。早い話が第二主題である。丸で囲った所、ヴァイオリンのパートに「con anima」とある。これが次女の名前の根拠だ。この曲の中でも大好きな旋律。将来家族で室内楽をやるときにヴァイオリンを弾かせたいと願った会心の名付け。

室内楽ツアーがヴァイオリンソナタに差し掛かったら、私事とのお叱りも覚悟で言及をしてやろうと待ち構えていた。

2015年9月 7日 (月)

マウンテンメーター

富士山の標高3776mにちなんで3776本目の記事ではしゃいだばかりだというのに、一昨日記事「グロースクロックネル」でオーストリア最高峰を話題にした。日本最高峰とオーストリア最高峰は20m少々の差でしかない。標高と記事の本数で盛り上がるのは「ツークシュピッツェ」以来3本目だ。2033年5月7日まで10252本の記事が必要なブログ「ブラームスの辞書」の歩みを最高峰ネタで追いかけることにした。

  • 8848 86.3% エヴェレスト 中国とネパールにまたがる世界最高峰なのにゴールまで86.3%でしかない。
  • 6960 67.9% アコンカグア アルゼンチンにある南米最高峰。
  • 6194 60.4%  マッキンリー アラスカにある北米最高峰。
  • 5895 57.5% キリマンジャロ ケニアにあるアフリカ最高峰。
  • 5642 55.0% エルブリース ロシアにある欧州最高峰。
  • 5137 50.1% アララト トルコ最高峰。ほぼ折り返し点。
  • 4897 47.8% ビンソンマチス 南極最高峰。
  • 4810 46.9% フランス最高峰。
  • 4634 45.2% ドゥフォールシュピッツ スイス最高峰。
  • 3798 37.0% グロースクロックネル オーストリア最高峰。←今ここ
  • 3776 36.8% 富士山 日本最高峰。
  • 2962 28.9% ツークシュピッツェ ドイツ最高峰。

とても励みになるのだが、問題もある。エヴェレストに到達した後ゴールまでまだ4年弱かかる。

2015年9月 6日 (日)

次女二十歳

本日次女が満20歳に到達した。末っ子の20歳到達は子育ての区切りだ。

同時に室内楽ツアーの真っただ中、ヴァイオリンソナタ第一番への言及開始と同時に、この日を迎えるのは計算ずくだ。次女の名づけの根拠となったヴァイオリンソナタ第一番の記事群を、シンクロさせて公開するという意図だ。

末娘の成人到達を祝うガチンコ特集である。

2015年9月 5日 (土)

グロースクロックネル

オーストリア最高峰。ザルツブルクの南南西およそ100kmの位置。標高3798m。

ブログ「ブラームスの辞書」は本日のこの記事が創設以来3798本目の記事となる。ヴィオリンソナタ第1番ネタをいきなりさえぎって山岳ネタだ。始まるぞ始まるぞと言ってなかなかはじめない。事実上未だにハーフタイムだ。

山下り第一走者ネタに続けて山岳ネタは必須だ。

2015年9月 4日 (金)

山下り第一走者

記事「前半戦MVP」で弦楽四重奏曲第3番を室内楽前半12曲のMVPだと持ち上げた。それが12番目の室内楽であることも添えておいた。室内楽全24作品のちょうど中間まできたということだ。

間もなく13番目の室内楽「ヴァイオリンソナタ第1番」が始まる。箱根駅伝で申せば、復路山下りの第一走者にエースを起用するようなものだ。私の好みで申せば、ピアノ四重奏曲第3番と双璧をなす。

ブラームス自身は関与しないとはいえ、「雨の歌」と通称される同ソナタはブラームス唯一の標題音楽だ。私の熱狂の原因はそこにはとどまらない。ヴァイオリンとピアノというたった2つの楽器が、30分も使わずに描く世界の奥行きを、私なりに突き詰めてみたい。

今まで1作品あたり10本を要することはなかったが、このソナタには時間をかけたいと思っている。

室内楽ツアー後半まもなくスタート。

2015年9月 3日 (木)

校歌

学校を象徴する歌。大抵は1つの学校に一つ制定されている。園歌、学歌、塾歌もこの仲間である。学校の立地する地域の風土を盛り込み、生徒たちよかくあれと歌うのが一般的だ。

これをともに歌うことによる生徒たちの帰属意識向上や、やる気を引き出すプラスの効果は見逃せない。高等学校の野球では勝利の儀式に欠かせないツールになっている。

ブラームス作曲の旋律に日本語のテキストをあてはめて校歌を仕立ててしまったら、何か法律的に問題が発生するのだろうか。死後100年経過しているから著作権周辺の問題はおきにくいと思うがどうだろう。

校歌に短調は似合わない。そしておそらく拍子は4拍子か2拍子で、概ねはつらつとしたテンポだ。この3つの条件に照らしてブラームスの作品の中から校歌に使えそうな旋律を探した。

  1. ピアノ三重奏曲第1番op8第1楽章冒頭 これは意外にはまる。ロ長調という調性が難だが、旋律としては素晴らしいと思う。
  2. 管弦楽のためのセレナーデ第2番op16第5楽章冒頭 
  3. 弦楽六重奏曲第1番op18第4楽章冒頭 
  4. ピアノ四重奏曲第1番op25第3楽章冒頭 3拍子だということがガマンできればかなりのお勧めだ。
  5. ピアノ五重奏曲op34第3楽章トリオ 8分の6拍子であることが難点だが、旋律としての説得力は高い。
  6. ピアノ四重奏曲第3番op60第3楽章 テンポが若干遅い上に甘さが勝ってしまっているのが難点か。
  7. 交響曲第1番op68第4楽章 いわゆる歓喜の歌。
  8. 弦楽五重奏曲第1番op88第1楽章冒頭 これもお勧めだ。
  9. 交響曲第3番op90第2楽章冒頭 ややテンポが緩い上に、気分の高揚が少ないのが難点だが、旋律としてはお勧め。
  10. チェロソナタ第2番op99第4楽章冒頭。

2015年9月 2日 (水)

平均律室内楽楽章

室内楽全24曲のうち12曲への言及が終わった。ブラームスの室内楽の歴史をたどるツアーは、中間点に差し掛かった。だから本日の記事はハーフタイムショウに相当する。

ブラームスの室内楽の楽章をキーに長短24種全ての作品を集めてみた。かなり苦し紛れだが、この手の遊びは楽しい。

  1. ハ長調 ピアノ五重奏曲第3楽章トリオ。数ある楽章冒頭を押しのけて選定。
  2. ハ短調 ピアノ四重奏曲第3番第一楽章 ピアノ五重奏のスケルツォと最後まで迷った。 
  3. 嬰ハ長調 弦楽五重奏曲第1番第2楽章 いやはや難解。記譜上は♯4つなので嬰ハ短調然としているが、冒頭からミに♯がついているから、実質的には嬰ハ長調となる。
  4. 変ニ短調 ピアノ五重奏曲第1楽章 第2主題。楽章冒頭では存在しないから苦し紛れ。
  5. ニ長調 ヴァイオリンソナタ第3番第2楽章
  6. ニ短調 弦楽四重奏曲第3番第3楽章 ヴィオラ弾きの光。弦楽六重奏第一番の2楽章あるいは弦楽五重奏曲第2番第2楽章と迷った。
  7. 変ホ長調 ピアノ四重奏曲第1番第3楽章 神業。
  8. 変ホ短調 クラリネットソナタ第2番第2楽章 まさにとっておき。
  9. ホ長調 ピアノ四重奏曲第3番第3楽章 チェロ史上最高の旋律。
  10. ホ短調 チェロソナタ第1番第1楽章。
  11. ヘ長調 弦楽四重奏曲第3番第2楽章
  12. ヘ短調 ピアノ五重奏曲第1楽章 順当。
  13. 嬰ヘ長調 チェロソナタ第2番第2楽章 嬰ヘ長調の移動ドで「ドレミドシラシソドミソシド」と始まるチェロのピツィカートが鮮烈だ。
  14. 嬰へ短調 チェロソナタ第1番第2楽章トリオ。楽章冒頭ではないが、納得の選抜。
  15. ト長調 弦楽五重奏曲第2番第1楽章
  16. ト短調 ヴァイオリンソナタ第1番第3楽章 雨の歌。
  17. 変イ長調 弦楽四重奏曲第1番第2楽章 ロマンツェ。
  18. 嬰ト短調 ピアノ三重奏曲第1番改訂版第3楽章 33小節アウフタクト。チェロの第二主題。苦し紛れにここ。初版にはないブラームス節。
  19. イ長調 ヴァイオリンソナタ第2番第1楽章 
  20. イ短調 弦楽四重奏曲第2番第4楽章
  21. 変ロ長調 弦楽六重奏曲第1番第1楽章
  22. 変ロ短調 弦楽四重奏曲第3番第4楽章第4変奏が一部の解説書で変ロ短調とされているが怪しい。ホルン三重奏曲の第4楽章第二主題44小節目も一部の解説書で変ロ短調とされているが、変ト長調が妥当だと思う。諦めきれずに捜していてどうやら見つけた。チェロソナタ第2番の第4楽章の第二主題。57小節目の複縦線を境に調号がフラット5個に変わる。某解説書では変ニ長調と談じているが、頷きがたい。恐らく変ロ短調が正解だと思う。やっと見つけた。
  23. ロ長調 クラリネット五重奏曲第2楽章
  24. ロ短調 ピアノ三重奏曲第1番第2楽章

2015年9月 1日 (火)

ハーフタイムショウ

一昨日、弦楽四重奏曲第3番への言及を終えた。全24曲の室内楽のうち半数が経過したことになる。だから昨日からハーフタイムだ。

サッカーのテレビ中継では、前半のスタッツやらリプレイ、あるいは監督のインタビューで時間をつぶすのがセオリーだが、実際にはCMばかりということも起きてくる。

現地スタジアムにいると、まずはお手洗いだ。そして売店。思い思いに時間を過ごすのだが、これがアメリカンフットボールになると、ショウアップが進む。

ここまで3ヶ月半の会期を振り返り後半戦に備えねばならぬのは、私の役目だ。

明日、あさってとささやかなハーフタイムショウを用意した。

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