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2015年9月21日 (月)

順次下降

低い方に向かって音階通りに下がって行く進行のこと。

大好きなヴァイオリンソナタ第1番の第一楽章36小節目から始まる第2主題、「con anima」の場面、ピアノに耳を傾けてて欲しい。36小節目からの第二主題は端正な4小節フレーズ。4分の6拍子の1小節が、4分音符3個ずつにグルーピングされる。ヴァイオリン側のスラーのかかり方から見ても1小節が2つに割られると判る。指揮なら2つ振りされる1小節の拍頭ピアノ右手にご注意いただく。
36小節から3小節の間「D→Cis→H→A→G→Fis」と続く。ニ長調の順次下降だ。次女の名付けに腐心していたころ、楽譜を見ながらこの旋律を何度も何度も聴いた中で、この順次進行の美しさに心を奪われた。同じ場所、ピアノの左手側は同じく拍頭で低い「D音」が執拗に鳴らされる。ノリとしては保続低音「オルゲルプンクト」だ。
ブラームスらしいささやかなサプライズは39小節目に用意されている。小節を2つに割っていたはずのピアノの右手が、突如小節を3つに割る。「E→D→Cis」という具合だ。ヴァイオリンの旋律は変わらずに小節を2分するようなスラーがかかっているから、真ん中の「D音」のところで、リズム的な軽い衝突が起きる。「4分の6」と「2分の3」が同時に鳴るということだ。ここでピアノが順次進行を守りながら、「E→D→Cis」を無理やり1小節に押し込むことで、小節の末尾に「A7」を作り出す。これがオクターブ上げられたニ長調第二主題確保のさりげない準備になっているという論理性がまぶしい。
そうして始まる40小節目は、「con anima」の主題の裏では先の順次下降がピアノの左手に移されている。もちろん43小節目では「E→D→Cis」の押し込みも保存されている。
さてさて話は一気に174小節目に飛ぶ。「con anima.」の第二主題が再現される場面だ。慣例に習って再現は原調のト長調。ピアノの右手の拍頭に目をやれば「G→Fis→E→D→Cis→H」という順次下降に続いて「A→G→Fis」という圧縮もキッチリと現れる一方で左手には「G音」がキッチリ保続される。
ピアノが奏でる順次下降と保続低音は、ヴァイオリンの超美しい第二主題をいつくしむように取り囲む空気と大地のようだ。
あるいは、あるいはもしかすると「父と母」かと感じたことが、次女への名付けの決定打になった。

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