お茶目ないたずら
ヴァイオリンソナタ第1番第1楽章の178小節目をご覧いただきたい。そこはいわゆる再現部の真っただ中。第二主題「con anima」が再現してから4小節後だ。提示部ではニ長調だから「Fis→Fis→G」と立ち上がったのだが、再現部では公式通りト長調で提示される。つまり「H→H→C」だ。
端正な4小節フレーズだから第二主題第2句は178小節目から始まる。そこにお茶目ないたずらがあった。小節冒頭のヴァイオリンに四分休符が鎮座するではないか。
「ウン→H→C」になっている。よくよくピアノを見ると、小節冒頭には本来ヴァイオリンにあるべき「H」の四分音符がキッチリと奉られている。いやはや芸が細かい。さまざまなCDでここの違いを楽しむとよい。
全体で4度提示される「con anima」の旋律だが、4回目のここだけにほどこされたいたずら。しかし高をくくってはいけない。このほうがボウイングが自然に弓順になる。
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