圧縮
ヴァイオリンソナタ第1番第1楽章冒頭の第1主題は「レッレレー」で始まる。それに続いてオクターブ下の「D」に梯子を降りる。その降り方にヴァリエーションがあると、記事「オクターブの中身」で話題にした。両端をオクターブで固定した中、その内側の3個の音の組み合わせて、微妙な空気感を醸し出していると述べた。
冒頭のパターンでは、「レッレレードシソレー」だ。今回話題の音列はこのうちの後半「レドシソレ」の5音を指す。
この5音の構成から、何らかの事情でどれか1音を削除して、4つの音に圧縮せなばならないとしたら、いったいどの音を削除するべきだろうか。
答えを先に申せば、それは最後尾の音、上記で言うなら「レ」だ。両端がオクターブというルールがあるから、仮に削除しても「レ」のはずという推定が成り立つからだ。
削除後は「レドシソ」という4音が得られる。音階に沿って2度下降した後、3度下降を添えればいい。
展開部の末尾近く、150小節目くらいから、急き立てるようこの4音圧縮形が畳み掛ける。156小節目でそのまますんなりと再現部となる準備だ。
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