最後のスケルツォ
ブラームスが楽譜上に明記したという意味において、ピアノ三重奏曲第2番op87の第3楽章が最後のスケルツォとなる。op99のチェロソナタの第3楽章には「スケルツォ」と明記されない。
ブラームスがシューマンらとともに合作したFAEソナタでスケルツォを担当して、ハ短調8分の6拍子でスケルツォを書いて以来、もはや伝統となった「ハ短調のスケルツォ」の最後の作品である。
以下に8分の6拍子のスケルツォを列挙する。
- FAEソナタ第3楽章 ハ短調8分の6拍子
- ピアノソナタ第2番第3楽章 ロ短調8分の6拍子
- ピアノ四重奏曲第1番 ハ短調8分の9拍子 インテルメッツォに改名
- ピアノ五重奏曲第3楽章 ハ短調8分の6拍子
- ピアノ四重奏曲第3番 ハ短調8分の6拍子
- ピアノ三重奏曲第2番 ハ短調8分の6拍子
- チェロソナタ第2番 ヘ短調8分の6拍子 スケルツォと明記されない。
見ての通り、ハ短調のスケルツォはいつも必ず8分の6拍子になる。興味深いのは上記3番だ。ピアノ四重奏曲第1番の第三楽章には元々「スケルツォ」と書いてあったのだが、現在流布する楽譜では「インテルメッツォ」と差し替えられている。これがもし、放置されていたら「ハ短調のスケルツォはいつも8分の6拍子」という命題が偽となっていた。
さらに上記の表の作品は全て短調だし、全てピアノ入りの作品となっている。FAEソナタはブラームス自身出版に同意していないからノーカウントとして、ピアノソロ、二重奏、三重奏、四重奏、五重奏に各1種ずつだ。
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