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2015年12月31日 (木)

108

私の脳味噌はブラームス補正でがんじがらめになっているから、「108」と言えば「除夜の鐘」なんかではなく、必然としてヴァイオリンソナタ第3番ニ短調を思い浮かべる。ほぼパブロフの犬と同じレベルだ。

本ブログで何度か話題になったデトレフ・クラウス先生は興味深い指摘をしておられる。

ブラームスはピアノ三重奏曲第3番ハ短調op101を完成した後、同第1番ロ長調op8の改訂に着手した。第2楽章のスケルツォ以外は、大きく装いを変える結果になったが、作品番号はop8のまま据え置かれた。クラウス先生の指摘とはまさにこの部分だ。ブラームスは改訂なったロ長調ピアノ三重奏曲にop108を与える構想をもっていたというのだ。結果としてこの構想は見送られたが、もし実現していたら、ピアノ三重奏曲第1番はop8とop108両方が存在することになった。そして現行op108を背負うヴァイオリンソナタ第3番は109番以降の番号を与えられていたハズだ。

おそらくそうなってもニ短調ヴァイオリンソナタの評価は微動だにするまい。影響があるとすればロ長調ピアノ三重奏曲の初版だ。現在の人気は圧倒的に改訂版が上だ。黙ってop8と言えば普通改訂版を指す程だ。もし改訂版にop108が与えられていたら、初版が正真正銘のop8として、もっとマシな扱いを受けていたと思う。

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