「a tempo」と「in tempo」の錯綜
ブラームスの脳味噌の中の「a tempo」と「in tempo」の使用基準は、ブログでも本でも「ブラームスの辞書」の大切なテーマになっている。
ピアノ三重奏曲第1番第4楽章の36小節目の「rit」は2小節後に「in tempo」によってリセットされるが、そのわずか6小節後に現れる「rit」は、同じく2小節後に今度は「a tempo」によってリセットされる。
このようにブラームス本人によってデザインされた錯綜ならば仕方がない。
「シューマンの主題による変奏曲」op9の102小節目と167小節目は、国内某大手出版社から刊行された楽譜には「in tempo」と明記されているのに、ヘンレ版には跡形もない。さらにその先229小節と306小節は、先の某国内版では「a tempo」なのに、ヘンレでは「in tempo」と書いてある。
難解という他はない。きっと一生楽しめる。
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