ニ短調ソナタ
無伴奏ピアノのためのソナタや、ピアノを含む二重奏ソナタはしばしば単に「ソナタ」と通称されている。第1楽章の調性を添えて呼ばれるのもお約束だ。ブラームスのピアノソナタ3曲、二重奏ソナタ7曲計10曲のうちニ短調の作品はただ1つしかない。ヴァイオリンソナタ第3番op108である。友人で大指揮者、優秀なピアニストでもあったハンス・フォン・ビューローに献呈されているのだが、クララ・シューマンのお気に入りでもあった。
1894年のある日、クララはヨアヒムとともにこのソナタを演奏した。「めったに経験できない純粋な喜び」と日記にしたためた。1891年3月を最後に公開の席での演奏から身を引いていたから、このときのヨアヒムとの二重奏はプライヴェートなものだ。いやはや何とももったいない。
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