Vivace di piu
ヴァイオリンソナタ第2番第2楽章94小節目に鎮座する指定。「ブラームスの辞書」では393ページにおいて「今までよりも活発に」という解釈をしておいた。
問題は「piu」だ。大抵は「piu~」という標記で「今までよりもっと~で」と解される。「piu」そのものに「今までより」というニュアンスが埋設されているという立場でだ。だから「Vivace di piu」で「今までよりVivaceで」と解した。
問題の第二楽章は表向き緩徐楽章として「Andante」で立ち上がる。これにスケルツォ然とした「Vivace」が交代する。無理やり申せば「A→B→A→B→A→B」だ。「B」が2度目に現れるところに本日話題の「Vivace di piu」が置かれている。「ブラームスの辞書」の記述とは矛盾するが「Vivace di piu」は、もしかすると「さっきのVivaceと同じでね」という意味の可能性もあるとにらんでいる。この場合「piu」は「先の」という意味。
これでめでたしめでたしにはならない。尚残る疑問は、3度現れる「B」のうち初回とラストは単なる「Vivace」を背負っているのに2度目だけが「Vivace di piu」になっている。何故全て同じにしないで書き分けたのだろう。
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