読書のためのスコア
iPodにブラームス作品を全部取り込んでいつも持ち歩いている一方で、作品の楽譜も持ち歩きの対象になっている。大判の楽譜ではなくてポケットスコアであることが多い。通勤電車の中など音楽を聴かずにただ、楽譜を眺めていることも多い。お気に入りの文庫本と同じ位置付けだ。文字通り「スコアを読む」のだ。
ソナタ作品であれば第一楽章から通して眺めてみる。提示部、展開部、再現部の順に頭の中で音を鳴らす。大規模な管弦楽曲はもちろんだが、二重奏程度の室内楽でも、かなり頻繁に新しい発見がある。同一の旋律が楽器の組み合わせを変えて提示されたり、音高さやアーティキュレーションに微妙な変化がつけてあったりと退屈しない。頻繁に隠蔽される再現部の冒頭付近は、とりわけ興味深い。
聴き込んだ作品の楽譜が意外にうろ覚えだったりということは珍しくない。ブラームスにおいては、音楽の聞こえと譜面の落差に意外性が宿っていることが多いから、楽譜を読むだけで楽しいのだ。
そしてそれらが全てブログ「ブラームスの辞書」の記事のネタ探しにもなっている。音を出さずに読めるから、周囲に迷惑もかからない。
コメント