人名辞典【女性名】
記事「人名辞典」で予告した企画第一弾である。ブラームスに関係する女性の名前を五十音順に列挙解説する。カナ名を緑文字、欧文名を青文字、ウムラウトを赤文字、名前の由来起源を紫文字で記した。
- アガーテ Agathe 3世紀シチリア生まれの聖人アガタAgataに由来するものと思われる。リストの先頭がこの人になって嬉しい。弦楽六重奏曲第2番の解説書には必ず出現する。アガーテ・フォン・ジーボルトはゲッティンゲン大学教授の娘で素人離れしたソプラノの歌い手。ブラームスとは婚約していたが破局。ウェーバーの歌劇「魔弾の射手」のヒロインの名前でもある。
- アデリーナ Adelina Adelheid(アーデルハイド)の派生形。アーデルハイドは「高貴な心」という意味。アリス(Alice)やハイジ(Heidi)もアーデルハイドから派生している。クララ・シューマンの高弟アデリーナ・デ・ララが有名。
- アマーリエ Amalie 大親友ヨアヒムの夫人。名高いコントラルト歌手。
- アリーチェ Alice Adelheid(アーデルハイド)の派生形Aliceのイタリア語形。イタリア出身のアルト歌手アリーチェ・バルビ。晩年のブラームスがぞっこんの惚れ込みようだった。
- アルマ Alma スペイン語やイタリア語で「心」という意味。グスタフ・マーラーの妻。
- イローナ Ilona クララ・シューマンの高弟イローナ・アイベンシュッツ。
- エリーゼ Elise エリザベートの愛称がそのまま名前として定着した。原義はヘブライ語で「エルは誓いなり」だといわれている。ブラームスの姉、シューマン夫妻の次女。
- エリザベート Elisabeth 洗礼者ヨハネの母の名前。リーズルの本名だ。
- オイゲーニエ Eugenie オイゲンEugenの女性形。シューマン夫妻の4女。
- オティーリエ Ottilie ottoの女性形か。ブラームスを虜にした少女オティーリエ・ハウアーやドヴォルザークの三女。
- カロリーネ Karoliene チャールズCharlesのイタリア語形Calroから派生した女性形Carolineのドイツ語形。ブラームスの父の後妻。
- クララ Clara ラテン語で「明るい」という意味。説明不要。
- クリスティアーネ Christiane ヘブライ語「救世主」メシアのギリシャ語訳Christianの女性形。ブラームスの母。
- コジマ Cojima 語源不詳。リストの娘。ワーグナーの妻。
- セレスティーネ Celestine ブラームスを看取った家政婦トルクサ夫人の名前。
- フランツィスカ Franzisca フランシスコFranciscoの女性形。ドヴォルザークの母。
- フローレンス Florence ラテン語で「花咲く」の意味「florere」の過去分詞「florens」が語源。クララ・シューマンの高弟にフローレンス・メイがいる。
- ベッティーナ Bettina エリザベスの愛称「Betty」のイタリア語的言い回し。「子供の不思議な角笛」の著者の夫人。
- ベルタ Berta ロベルトRobertoの女性形Robertaの縮小形。子守歌を贈られたファーバー夫人の名前。
- ヘルミーネ Hermine ウイルヘルムWilhelmの女性形Wilhelmineの縮小形。50代のブラームスを虜にした歌手ヘルミーネ・シュピース。
- ヘンリエッテ Henriette ハインリヒHeinrichの女性形。画家フォイエルバッハの継母で「ネーニエ」op82を献呈された。
- マティルデ Mathilde 古高地ドイツ語で「戦闘の力」という意味。ワーグナーの愛人の名前でブラームスと文通もあった。
- マリア Maria 語源不明。キリストの母の名。広く欧州で愛されている。ウエストサイドストリーで名高い。他バッハの最初の妻など関係者は多い。男性のミドルネームにもなる。
- マリー Marie マリアのドイツ語形。シューマン夫妻の長女。
- ユーリエ Julie ジュリアスJuliusの女性形Juliaからフランス風に変化した名前のドイツ読み。シューマン夫妻の三女。ブラームスが思いを寄せた。
- ヨゼフィーネ Josephine ヨゼフJosephの女性形。実はクララのミドルネーム。
「人名辞典」のノリがご理解いただけただろうか。
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