選曲のセンス
画家マックス・クリンガー(1857~1920)は、ブラームスの60歳の誕生祝いに版画集「ブラームス幻想」を贈った。ブラームス作品を自ら選び、それにふさわしい版画を楽譜とともに連ねたものだ。
- 古き恋 op72-1 ト短調
- あこがれ op14-8 ホ短調
- 日曜日の朝 op49-1 ホ短調
- 野のさびしさ op86-2 ヘ長調
- 家もなく故郷もなく op94-5 ニ短調
- 運命の歌 op54
選ばれたのは上記の通りだ。作品番番号の若い順でもないし、調性の選択にも規則性がない。この選曲はクリンガーのセンスそのものだ。尊敬するブラームスへの贈り物だ。行き当たりばったりの選曲であろうハズがない。6番目の「運命の歌」がメインになっているらしい。
贈られた側のブラームスは「これは目に見える音楽だ」と始まる長い礼状をしたため、改めてライプチヒにクリンガーを訪問した。
それでもブラームスはまだ足りぬとばかりに、クリンガーの父の死に際して、「4つの厳粛な歌」op121を献ずることになる。
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