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2016年7月11日 (月)

お盆のファンタジー21

ブラームスが連れてきたのはまたまた紳士だった。「フランスに勝っていたら決勝戦を観に行く予定だったのだが」と憮然とした表情のブラームスの後から、静かに入って来たのはグスタフ・マーラーだった。私のメガネを見て同じだといってブラームスが笑っている。

娘たちは今年も「だあれこの人」というリアクションだ。長女を紹介するとマーラーさんの目がひときわ輝いた。「妻と同じ名前なのか?」と訊いてきた。長女はこっくりとうなずく。「幼いころはなじめなかったけど、今はとても気にいっています。自己紹介すると一度で覚えてもらえます。就活の面接者に音楽愛好家がいて、貴殿の妻の名前だと悟られたことから話が30分続いたこともありました。小さいころから父に由来を聞かされてきたので、スラスラと答えることが出来ました」と嬉しそう。

オケをやっていた次女は、「指揮もなさるのですか?」などと怖いもの知らずの質問をしている。マーラーさんは余裕をかましながらニコニコとうなずいている。「3月には、あなたの後輩たちがニュルンベルクに来てくれたね」と早々と核心話を切り出した。次女は「今年はテロもあって心配しましたが、何とか開催できました」といつになく控えめ。マーラーさんは「ブラームスから絶対に聴きに来い」としつこくさそわれていたらしい。「遠い日本から高校生が来る。しかも女子ばかりということで妻も誘って出かけたよ」とマーラーさんは遠くを見つめるような目でつぶやく。「会場入りする人波を見て、半信半疑だった妻の顔つきがかわった」「堅実でクレバーな演目の中にアダージェットが無理なくおかれているのを見てうれしかった」などと話があふれ出す。「バッハからアダージェットを経て未完成に至る流れは実に端正だ」とブラームスが割り込んできた。

長女がビールを取りにキッチンに走る。

「すごいアダージェットだった」「これが10代半ばの乙女たちなのか」ビールも入っていないのにマーラーさんは矢継ぎ早だ。「見ての通り、高い音をはずしませんねとか、指が回りますねとか、重音がはまりますねとかいう切り口の曲ではないからな」と口を挟まずにはいられないブラームスさんだ。「出番がない管楽器奏者たちが定位置に座ったままという緊張感も音楽のうちだった」「自信に満ちたというにはあまりにエレガントなアダージェットだった」というブラームスの言葉にマーラーさんはすでに涙目だ。

「おまちどうさま」と長女がビールを持ってきた。次女がブラームスに長女がマーラーさんに酌をしている。注ぎ終わるかどうかというところでブラームスさんが「乙女たちのアダージェットに乾杯」と宣言した。

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